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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 114

騎士団はルミエールが西公主に叙任されるという情報を宮廷官僚からつかむと、現在アンドレスの街に滞在している騎士二名、マルセリナとルシアをルミエールの護衛に任命するという指令を伝える鷹を飛ばした。王都から人に書状を運ばせるよりも射られて墜落しなければ情報が漏洩せず、迅速に運ぶことができる。ただし訓練された鷹は数に限りがあるので通常は使わない。
途中の西公領オーリッサの都が壊滅しているため、陸路で王都からアンドレスの街まで向かうのが不便になっている。
鷹にルミエールが手紙をつけて放てば騎士団に連絡をつけることができる。こうして、警備隊屯所に、一羽の鷹が飼われることになった。
吟遊詩人ディオンと結婚するとライラがルミエールに告げたので、ゾンビ大量増殖事件から一ヶ月後、二人の結婚式が行われることになった。
<自由の広場>には街の住人が集まっている。
ライラは最近は少し出歩くようになったが、以前から美人として街の住人たちから見られていた。
吟遊詩人ディオンはライラと歩いていて初めは違和感があった。街に溢れる魔力にあてられていたからだけでなく、自分だけで歩いているときよりも注目されているからだと最近になって気がついたのであった。
アベコウキは、マリーナや僧侶メトラなどの美女と一緒にいることが多いので、すでに慣れているのだが、吟遊詩人ディオンは一人旅で人に会わない日が何日も続くような状況に慣れているため、演奏もしないのに注目を浴びているという状況には慣れていない。
(結婚する直前のライラを騎士団に誘うのは無理。ならアベコウキだけでも)
マルセリナは、どうやってアベコウキを騎士団に勧誘するか、できるだけ顔には出さないようにしながら考えていた。
結婚式の当日、ライラは展示品のドレスを着て教会から広場まで、吟遊詩人ディオンにエスコートされながら歩いてきた。
街の女の子たちは展示されていたドレスを着て歩いてくるライラを見てうっとりとした顔で、結婚に憧れた。
吟遊詩人ディオンはバレンドルフの軍服を着て、普段の旅人の服装ではなく、また髭や髪もバレンドルフの妻マノンに整えられ礼儀正しい紳士に見える。
ただし、この二人はそれで終わらなかった。
吟遊詩人ディオンはリュートで陽気だが激しい曲を演奏し、ライラはドレスを翻して舞うように踊ってみせたのである。
演奏と踊りが終わると街の住人たちは感動して、一瞬の静寂のあと、広場は拍手喝采の嵐となった。
教会の礼拝堂にも拍手が聞こえてくる。
女神像の前で両膝をついた僧侶メトラは、目を閉じて、うつむいたまま、無言で祈りを捧げていた。
僧侶メトラは神官で神に身を捧げているので結婚は古いエード族に伝わる戒律に従いしないと決めているが、過去に大神宮となるための試練を受けたとき同行した吟遊詩人ディオンにずっと恋をしていた。
バレンドルフの推測はまちがっていた。惚れていたのは僧侶メトラだったのである。
結婚式に参列していたルミエールが拍手の嵐からそっと離れ、教会の扉の前に立ったとき、鷹が舞い降りてきた。ルミエールもこの日は、ライラより目立たないように剣と鎧は身につけてはいないが、軍服の男装の礼装で、腕に鷹をとまらせた。
(おっ、なんか、鷹がかっこいいぞ。なんだ?)
アベコウキが、ルミエールの凛々しい姿を少し離れて見ていた。
ルミエールは騎士団の鷹を腕にのせたまま、教会の中に入っていった。
アベコウキが教会の扉に近づいたとき、マルセリナが背後から声をかけてきた。
アベコウキは、魔力の銃弾の破壊力の印象が強くて騎士ルシアの顔と名前は忘れもしないが、騎士マルセリナの印象はなんとなく薄くて、すっかり名前を忘れていた。
さすがに「誰だっけ?」とは聞けず「ルシアさんといつも一緒の人だよね」と言った。
「はい、マルセリナです。アベコウキさんのことは、魔法に詳しい人とルシアからうかがっております」
教会の礼拝堂では、鷹の羽毛に隠れた首輪の小さな筒から取り出された紙片を、ルミエールと僧侶メトラが見て、驚いて顔を見合せていた。
騎士団からマルセリナとルシアに要人警護の任務の指令が書かれていた。そして要人は西公主ルミエールとなっていたからである。
「メトラ、これはどういうことだろう?」
「ルミエール様、この鷹は王都の騎士団からの緊急用に訓練された鷹ですから、宮廷議会からの通達より先に騎士団の指令が届いたものかと」

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