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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 113

アンドレスの街の領主クロノバルコが、西公領の首都オーリッサに旅行に出かけ失踪中である。次の領主に王都から誰かが派遣されてくるのか、街の評議会メンバーから選出して王都の宮廷へ報告を求められるか、ルミエールは様子をうかがい自分から催促することはしないでおいた。
アベコウキはクロノバルコが亡くなっていると、西公領の首都オーリッサに乗りこむ前にルミエールに告げた。オーリッサの都でゾンビ化した民衆がおたがいを喰い合ったので、遺体の損傷が激しい。また地下牢めざしてやって来ていたゾンビの中にいたとすれば、ルミエールとルシアに頭部を破壊されているはずであった。
宮廷議会では、アンドレスの街の領主ではなく、新しい西公主を誰とするか、または期限つきで東公主リシャールが、西公主の政務も兼任して行うかの議論が行われていた。
北公主ヴァイナモは領土が離れすぎている。南公主イグナートに任せれば五大公領最大の広域の領土を与えることになり、均衡が崩れると危惧され、これらの案は却下された。
西公主と東公主をリシャールが兼任する案は、リシャール本人が辞退を意を表明した。
「適任者を推薦させていただきたい」
リシャールが卓上に西公領の広げられた地図のアンドレスの街を指さして、ルミエールの名を上げた。
「もしルミエールが辞退した場合は、リシャールが納得する適任者を推薦せよ、と伝えて下さい」
これは商業ギルドの首領イラベラにとって予想外の人事だった。ルミエールが現在アンドレスの街にいることは、以前にルミエールがアンドレスの街からギャングを締めだした事件で把握していたが、この西公主の後継者を選出する会議でその名が出るとは考えていなかった。
イラベラは王国内の、王族の親戚筋にあたる名家の数名を予想していた。あえて東公主リシャールが西公主を兼任する案を上げるように、息のかかった宮廷官僚たちに指示を出しておいた。リシャールが兼任を辞退するところまでは、イラベラの狙い通りに宮廷会議は進んだ。
もし兼任をリシャールが了承していたら、西公領の減税を進言したのは財を蓄えるためだったと噂を流し、国王の承認が出しにくい状況に追い込んでおいて、騙しやすそうな貴族を西公主に推薦するようにイラベラは宮廷会議の流れを誘導するつもりだった。
北公主ヴァイナモの「ルミエールを西公主の候補とする案に同意する」という内容の書状をリシャールがその場で取り出して見せ、読み上げたことで、会議の流れは、宮廷議会は西公主に東公主の妹ルミエールを推薦することを国王に進言すると決まった。
北公主ヴァイナモに、東公主リシャールはすでに書状でルミエールを西公主に推薦すると伝えておき、その返答を受け取っていたのである。
南公主イグナートにとって、ギャングは商業ギルドから利益目当てで寝返ってきた手駒にすぎないが、その手駒をルミエールはアンドレスの街から排斥してみせた。その事件のことを東公主リシャールは書状に書いておいたのである。
北公主ヴァイナモは西公領の首都オーリッサがすでに南公主イグナートの手下の巣になっていることを危惧して、有力な評議会議員の抹殺を企てたことがある。
西公領の首都オーリッサの民が全滅したことに哀悼の意を表明した北公主ヴァイナモだが、オーリッサの都にいた南公主イグナートの手下が敵につけこまれたダルア公と一緒に一掃されたと思うと「これもまた天命であろう」とつぶやいた。
南公主イグナートの手下がつけこむには、ルミエールは難攻不落といえるだろう。新たに西公主として王国の貴族どもが就任すればダルア公の二の舞になりかねない。
東公主リシャールは西公領首都壊滅の報を聞くと、北公主ヴァイナモへの書状を急ぎで送っていた。

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