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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 110

平原の王都エルドニアの宮廷会議で、西公主ダルアの死去による公主不在の対応を決める議論が群臣たちにより行われた。
王都から適任者を派遣するのか、一時的な処置として東公主リシャールの管轄下に置くべきか。
そのまま放置すれば西公領からの納税がされないと判断されたのである。
これに対し、東公主リシャールはオーリッサの都を視察し、犠牲者があまりに多く、復興のために西公領の納税を少なくとも五年間はなしとするか、きわめて低額に緩和する必要があると提案した。
これに反論できる群臣はいなかった。
本来であれば、王国と各公主が天災にあった西公領への復興資金の援助を行うべき、という提議の代案として東公主リシャールは王国の西公領に対する減税を上げているからであった。
反論すれば、王国から貴族たちは援助金を徴収されかねない。また北公主ヴァイナモ、南公主イグナート、どちらも宮廷会議に出席していない。宮廷会議でどのような決議があれど、その決議に同意して従うかどうかは自分たちで判断する、という態度なのである。
宮廷の威信は五大連合国として樹立した時代と比べるならば、天と地ほどの差がある。
西公領の首領オーリッサの崩壊は王国の国営資金の供給という意味では痛手ではある。しかし、崩壊前の納税を今すぐ求めることは不可能であると東公主リシャールは実際に視察して発言しているため、他の群臣たちよりの発言にはない強さがある。
疫病という王立神聖教団の情報から、他の群臣たちは警戒して、自分の目で現地の状況を視察していない。もしも、他の群臣たちが商業ギルドの首領イラベラほどの行動力があれば、東公主リシャールが宮廷会議を仕切ることは難しかっただろう。
東公主リシャールが西公領の崩壊した首都オーリッサに、なぜ自ら赴いたのか?
商業ギルドの首領イラベラは、首都オーリッサが西公領で預けられた金品が多額であること、その金品をどうしても手放したくなかった。
王国の宮廷の群臣たちは、命を落としたくなかったのでオーリッサの都には近づかなかった。
騎士としてルシアは、オーリッサの都のゾンビの群れと戦闘した。すべての騎士は王国の民のために、命がけで敵と戦う。ルシアは騎士だ。それがオーリッサの都にエリシーヌと乗り込んだ理由であった。
敵は今まで戦ってきたギャングどもではなかった。騎士が守るべき民が、敵として襲いかかってくる状況の中でエリシーヌは「ルシア、今はまだ考えるな」と言った。
がむしゃらに戦い続けなければ、死肉を喰らうゾンビにルシアはなっていた。それは自分でもわかっている。
ルミエールの剣技の鋭さに、迷いは一切感じなかった。ルシアは途中から威力の強い散弾で、ゾンビを撃破し続けた。ルミエールは同じ威力で、破壊されたゾンビが通路を塞ぐように撃破し続けた。
疫病が発生した、とオーリッサの都で多くの住人がゾンビとなったことは公表されなかった。
それに関してエリシーヌは、ルシアが騎士団に報告しても不問とされると断言した。
「アベコウキによれば我々が行った場所はオーリッサの都の評議会議員の邸宅にある地下牢らしい。そのことから評議会議員サンダリオが都にいた人間をゾンビにしたのではないかと考えられる。しかし、それを証明できる者がいない」

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