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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 108

アベコウキとルミエール。残りあと一人。
「マリーナとライラにはアンドレスの街に残って、ここの魔法陣を維持してほしい」
アベコウキやルミエールをオーリッサの都に瞬間移動で転送するためには、アンドレスの街からダンジョンに移動するのとはちがい魔力を消費する。
以前にオーリッサの都に瞬間移動したときは石板が失われた。今はダンジョンがあるとはいえ、ダンジョンの導き出した魔力を全部は瞬間移動に使うわけにはいかない。
オーリッサの都へアベコウキたちを移動させる魔力の不足分を、マリーナとライラで補ってもらう。
「破壊できないと判断したら、すぐに全員でダンジョンに戻ってくるつもりだ。破壊できても、回復が必要だからダンジョンに戻ってくるよ」
「あと一人はどうするの?」
ライラが吟遊詩人ディオンをちらっと見る。知識はあるが、戦闘力は期待できない。まして敵がゾンビとなると歌を聴かせて感動させるのは難しい。
僧侶メトラか傭兵バレンドルフを<自由の広場>から、アンドレスの街に召集することもできる。
しかし、僧侶メトラの浄化の魔法がオーリッサの都で発動できない可能性が高い。ゾンビやスケルトンを一体ずつ呪術師が制御しているのなら僧侶の浄化の魔法は呪術師の制御を失わせる有効な手段ではあるが、僧侶がゾンビ化の効果範囲の結界内に放りこまれたら、浄化の魔法を封じられたようなものである。
傭兵バレンドルフは、吟遊詩人ディオンより戦闘力はあるが、ゾンビ相手に接近戦となると噛まれる危険がかなり高くなる。
ライラも戦闘力は高く俊敏ではあるが、格闘や接近戦を得意としているので、ゾンビに噛まれる危険がある。
マリーナは女神ラーダと融合しているので、ゾンビの群れに雷撃の足止めはかなり有効だが、アベコウキやルミエールまで感電したら元も子もない。
そこでアベコウキが選んだあと一人は、赤髪の騎士ルシアだった。[精霊銃]の能力者である。
「緊急事態だ。協力を要請する」
ルミエールが白銀の鎧を装備し、愛刀を携えている姿でルシアの目の前に立っている。
「御意」
騎士ルシアが執務室の床に片膝をついて、騎士として恭しく頭を下げる。
こうして三人は西公領の首都オーリッサの都にあるサンダリオ邸の地下通路に瞬間移動で乗りこんだ。
地下牢をはさんで右側にルミエール、左側にルシアが通路に駆け込んでくるゾンビを撃破する。
頭部をルミエールが剣撃で生じさせた衝撃波で、赤髪のルシアが両手に持った二丁拳銃の魔力弾で正確に破壊する。
二人の前に近づく前に頭部のない遺体が倒れる。倒れた遺体を踏み越えて、すぐにまた次のゾンビがやって来る。都にいるゾンビが全部、魔法陣を破壊に来た三人に向かって移動を開始している。
地下通路がゾンビの群れで渋滞している。
通路を走ってくるゾンビは一体か二体ではあるが、ルミエールとルシアに休む間をあたえてくれない。
頭部がなければ噛まれることはない。脚を破壊しても、腕を使って這って来て噛まれる危険がある。
頭部ではなく胸のあたりに衝撃を受けたゾンビは後方に飛ばされて、後続のゾンビにぶつかる。
後続のゾンビが衝撃を受け止めるクッションとなりすぐに走ってくる。深く斬り裂かれていても、風穴が開いていても。
あうおぉぉ、おおぉぉぅ……。
言葉にならない声を上げているゾンビの群れ。迫る勢いが何体撃破しても変わらない。
ルシアが二丁拳銃から、射撃すると反動がある拳銃一丁に変えた。グリップを利き腕で握った上からもう片方の汗ばむ手を被せて両手でしっかりと握る。
銃声が響いた。ゾンビの胸元から頭部までを散弾の魔力弾が吹き飛ばす。
ゾンビは男と女、老人や子供もいる。ルシアは住人を狙撃しているような不快感を感じた。
エリシーヌは通路を頭部のないゾンビで封鎖することに成功した。通路を塞ぐ仲間のゾンビの肉をクチャクチャと咀嚼する音を聞き取り、エリシーヌは眉をひそめた。
エリシーヌが疲労しているルシアの隣に立った。
「位置を変えよう、壁が崩れるまで待機しておけ。ルシア、今はまだ考えるな」
ルシアとエリシーヌが位置を変えた。
エリシーヌの剣撃が風の乾いた音を鳴らし、またゾンビの首を転がした。

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