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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 104

南公領では所持していることが発覚すれば捕らえられかねない書物である。戦後すぐに、南公主としてイグナートが就任すると、前の皇帝に仕えていた者の粛清を行った。マトゥの師匠の呪術師が研究していた帝都の施設があった区画は、戦艦の自爆で壊滅している。
粛清される前に国外逃亡していた呪術師の弟子マトゥが潜伏した村は、西公領の首都から近かった。
村人が読めないが意味ありげだと、マトゥの教会にあった遺品を都の商人に売り払った。そのなかに、マトゥの日記がふくまれていたのである。
サンダリオは、戦時中に骸骨の兵士が連合軍をアンドレスの街まで撤退させたことを知らない。骸骨の兵士を作成しようとはサンダリオは考えなかった。
日記の内容はマトゥが女性の尻を平手打ちする趣味であることや、師匠が勃起力がないために木製の張形で奴隷を凌辱したこと、媚薬の作成と実験結果、戦時中に敵兵の女性を媚薬漬けにしたこと、こうした記録が続く。
そして、偽僧侶として村人たちを使って実験を続けていたが、実験中に村娘が死んだので蘇生させるところで日記が終わっていた。
サンダリオは日記を読んで興奮した。
平手打ちではなくサンダリオは鞭で女性の背中を打つのが趣味で、マトゥと共感するところがあった。
地下牢で館のメイドのエミーを監禁して犯している。媚薬漬けにされた女性が思考力が低下していくにつれ、反応が鈍くなることへの不満だと、呪術師の弟子マトゥの記述に、サンダリオは同感だと、何度もうなずきながら読んだ。
西公領では使われない南公領の言葉の日記を、村からまとめて買い取った商人は読めず、ただし日記の皮表紙が高価な品に見えたので店で売りに出していた。
この日記帳は頑丈で劣化もほとんどしていない。マトゥが初めは呪術師の弟子として優秀な弟子であったことがわかる。書物を劣化させないように魔法で表紙や紙に加工してあるのだ。商人は読めない言葉の書物があることをしばらく忘れていた。
西公領の首都オーリッサは、ルミエールたちが暮らすアンドレスの街よりも入り組んだ路地が煩雑に広がっている。慣れていない者には、住民が増えるたびに増築していった建物が並ぶ路地の迷路である。
日記を所持していた商人の店も、入り組んだ路地の奥にある。
サンダリオは媚薬を使わない日は西公主の館で政務をしたり、気晴らしに街へ出る。サンダリオは館の地下牢では鬼畜だが、そうでないときは街の名士としてふるまっている。西公領の首都オーリッサは、公主ダルア公が放置しているにもかかわらず、それなりに繁栄しているのは、サンダリオが街の評議会議員たちを従えていることで統制されているからである。
商人のトニーは評議会議員サンダリオが訪れて、ほこりをかぶった日記を手に取ったとき、それがいつから店にあるかわからなかった。
トニーの祖父が、オーリッサの都で商売を初めたばかりの頃に、商品をやたらと仕入れて並べて見た目から店らしくしようとしていた。トニーの父親がそれらを売れそうな物とガラクタを分別してかなり処分した。
トニーは父親の残した品物を売りさばいている。仕入れをするにも父親のように鑑定する自信はなかったからである。
「どこの言葉かもわからない本なんですが、サンダリオさんになら安くしておきますよ」
サンダリオはトニーの言う金額を値切ることなく払って買った。オーリッサの都では客が商人に値切るのが当たり前で、その分だけ初めは高めに値段を客に言うのである。
(もしかして、もっと高く売れる物だったかな。まあ、いいか。本を買う上品な客なんかめったに俺の店には来ないからな)

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