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初恋の人は
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初恋の人は 36

喜多岡由衣だったころのきららは、清純派お嬢様として、絶大な人気があったと記憶している。
ただそれは半ば幻想を抱いていた俺含めた男子の間だけで、あまり友達がいなかった、と彼女も語っている。加えて家庭の事情が大きな影響を与え、家族からの愛情も欠けていたという。

そんなこともあって、今のきららはアンナのことを親友であり、母のように思っているフシがある。
それ以外でも同じ事務所やレーベル、共演した女優とはとても仲良しであり、俺と暮らし始めるまではプライベートでも一緒に遊ぶ女優が何人かいたし、今もそれを大切にしてる感じがある。

今のアンナに見せている態度は、そこから一歩踏み出したようにも見える。

「私も孤独だったから・・・きららちゃんに共感できるわ」

アンナもどこか遠い目をしながらきららを抱きしめ言う。
そのアンナも、婚約を破棄され、友人も全て失い、両親親類にまで見放されたと聞いた。
そしてAV女優としてはきらら程恵まれない底辺・・・
孤独だったからこそ、俺に抱かれて依存したのかもしれない。

「浩輔さんのお陰で凄く満たされましたし、きららちゃんのお陰で孤独が埋めれた気がします」

俺に微笑むアンナ。
いい顔だ。

「私・・・孤独だったんだなぁ・・・考えて無かったけど、孤独が辛かったんだなぁ・・・」

ボソリときららが呟くように言う。
恐らくAV女優になってからの友達は、彼女に癒しを与えていたとは思う。
だが肉欲は埋めれても、孤独は埋めれなかったんだろう。

「心から友達って呼べる存在って、全くいなかったんだなって…この仕事始めるまで、全然…」
きららがアンナの胸に顔を埋める。

「AVに行く子って、何ていうかね、心に問題抱えてる子が多いって言うか…だから私、すぐに仲良くなれた子が多かったのかなって思うんだ」

そんなきららが俺の所に転がり込んできたのは、多分その心に問題を抱えて孤独を味わっていたからなんだろう。
それはアンナにも言える。

「普通の女の子になりたかったなぁ・・・」
「そうね、望めない夢・・・望んじゃいけない事・・・」

抱き合うアンナときらら。
普通に恋をして、普通に1人の男と添い遂げ、子を産み母になる・・・
男と添い遂げる事も子を産む事も2人にできるだろうが、身体を売って生きてきたと言う烙印は一生消えない。
特にこのネット社会だから、彼女以外の行為は永遠に残るかもしれないのだ。

「せめて、浩輔さんに可愛がられて貢げるだけでも幸せ・・・」
「うん、こうやってコーくんに貢げて幸せよね」

普通に生きられない彼女達のこれが愛なんだろう。
それを受ける度量と、他の男が彼女達の身体をいいようにするのを許せなければ、AV女優とは付き合っていられないのだと思う。
恐らく他のAV女優達の彼氏も同じように接しているのかもしれない。

アンナに抱きついていたきららが俺のところに近寄ってくる。
きららに再会できたことが何より一番良かったことだと思う。

「コーくん…」
何も言わずただきららの身体を抱くと、こちらの胸に飛び込んできて唇を奪う。
「えへへ…大好き。コーくん」
女優の顔というより、素の顔が出ている彼女だ。

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