初恋の人は 31
お互いの過去を知ってる上に、同じ男に処女を奪われ調教されただけに、きららがアンナに相当シンパシーを感じているからの発言かもしれない。
どちらも身内との関係が破綻した事もあって、お互いがすぐに姉妹か母娘みたいな関係になっている。
まあ、仲の良い事は悪くないし、プライベートで2人のレズプレイを見せて貰ってもいいかもしれない。
と、そんな話を3人でしていると、少し考えるような仕草をしたアンナが口を開く。
「浩輔さんの前だけで私達が共演してると思って頂ければ」
「まぁ、見たいのは山々だが、そう思うのが現実的かな」
2人の立場やスタイルが余りにも違い過ぎて、AVの世界での共演は難しいだろう。
ただ、そんな難しい2人と俺は同時にプレイ可能なんだから、それはそれで美味しい事だと思う。
2人がそれぞれ違っているからこそ良いと思えるし、こちらの楽しみも増える。
「浩輔さんに捨てられなければ私は十分ですし」
「センセ、コーくんはそんな子じゃないって」
アンナが柄でもないことを言うと、きららが突っ込みを入れる。2人の関係も良好なので俺としては嬉しい。
「せっかくだからお風呂で試してみる?センセと私のW接待ソープとか」
「ふふ、それができるなら面白いですね」
「夢みたいなシチュエーションだけど、うちの風呂の広さでできるかなぁ…」
そんな事を言うときららがニンマリと笑う。
「なら、私の撮影が終わってアンナさんのグラビアがある数日間・・・内風呂付きの温泉でも行かない?」
そんなお金が・・・
と言いかけて止めた。
きららが生活費として渡してくれたお金が結構な額で、最初驚いて辞退しようとした。
だが、きららによるとこれでも収入のごく一部らしい。
アンナが逆に自分との差に驚いていたぐらい、結川きららは高給取りらしい。
因みにきららには多額の借金があるのだが、先方の意向で返す額は一定で一括返済は駄目らしい。
それは、債権者達が借金返済日にきららを抱く為だかららしい。
その為に多額の借金がありながら、きららの生活は比較的豊かなようだ。
「どうせ撮影が終わったらいつもご褒美旅行していたから、丁度いいしね」
「何か悪いな・・・」
「気にしないで、私はコーくんとアンナさんと旅行に行けるなら費用は惜しくないどころか、むしろ払わせて下さいだわ」
そんな風にニコニコ笑うきららだが、アンナの方は「格が違い過ぎるわ」と苦笑気味だった。
そんな話をした数日後…
「想像以上だったな…」
「こんなところに泊まれるなんて…夢にも思わなかったわ」
きららの企画したご褒美旅行にやってきたわけだが、その旅館は豪華な老舗旅館だったのだ。
呆気にとられるアンナと俺に対してきららはニコニコ顔。
「私のお気に入りでね、撮影を頑張ったらここに行く!って決めたらモチベーションも上がるわけよ」
「にしても凄いね」
通された部屋も内風呂と露天風呂付きの部屋で、しかも天然温泉と来ている。
一体一泊いくらだと聞きたいようで聞きたくないぐらいだ。
「コーくん、聞いてね」
その部屋に荷物を置いた所できららがそう言う。
「私達って、コーくんにどれだけ好きって言っても他の男とセックスする女な訳」
「ああ、それは納得してるからいい」
きららもアンナもAV女優なのだから、それは仕方ない。
「だから私達の本当の愛の表現はお金なの・・・大好きな男にお金を貢ぐ事が、私達の愛だと思って欲しいの」
真剣な表情で言うきらら。
「この旅館に決めたのも、コーくんが好きでコーくんに貢ぐ事が私の愛で幸せだからなの」
「きらら・・・何って言ったらいいか分かんないけど・・・」
どう言ったらいいか分からない。
女に貢がせる男なんてホストとかヒモとか言い印象は無い。
だけど、彼女のAV女優と言う立場からすると、考え方が違うんだろう。
その言葉を聞いて、アンナも居住まいを正して正座する。
そして俺に深々と頭を下げる。