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淫らな館
官能リレー小説 - その他

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淫らな館 1

眠りから目覚めた時、俺は柔らかなベッドに横たわっていた。
傍らには暖炉があり、薪の上で炎が踊っている。
夜なのか室内は薄暗く、まるで部屋全体を暗闇が覆っているかのようだ。
「ああ!良かった!やっとお目覚めになられましたのね」
その声に導かれるように声の方向に目を向けると、宝石のように美しく鶴めくアーモンド型の碧い瞳と目が合う。
其処に居たのは、まるで絵の中から抜け出してきたように美しい女だった。
年齢は十代の後半くらいだろうか。輝くような黄金の髪と澄み切った青空のような碧い眼。
青みがかった透き通るような白い肌は、今にも闇の中へと溶けてしまいそうだ。
「旦那様?」
何一つ喋ろうともしない俺を不審に思ったのか、名も思い出せないその女は不思議そうに首を傾げる。
「どうなさったのですか?そんなにぼんやりされて……何かお飲み物でもお持ちしましょうか?」
俺は戸惑っていた。状況が何一つ飲み込めない。それどころか、自分が誰なのかも思い出せなかった。
「まあ……何も覚えていらっしゃらないと?」
俺が正直に自分の今の状況を放すと、彼女もまた戸惑いの表情を浮かべる。
「私の事もですか?」
「ああ、すまない……」
彼女が余りにも悲しそうなので俺は思わず謝罪してしまっていた。
「いいえ、気にしないで下さい。きっと一時的に記憶が混乱しているのでしょう。大丈夫すぐに思い出せますからね……明日医者を呼びますから今日はもうお休みください」
その声には有無を言わさぬ響きがあった為、俺は逆らうことなく瞳を閉じた。
翌日、医者に診察してもらうと俺は記憶喪失だそうだ。
「君は俺の何なの?」
「私はあなたの妻です。名はフローラ。」
彼女の指には俺と同じデザインの指輪が指にはめられている。
「ご安心ください旦那様。忘れたというなら私が思い出させてあげます。」
そう言うとフローラは自ら着ていた服を脱ぎ捨てる。
「ちょ、ちょっと何してるんですか!?」
フローラのあられもない姿を見て動揺した俺は、顔を真っ赤にして彼女の裸体から目を逸らす。
「うふふ、旦那さまったら……私たちは夫婦なのですから遠慮することはございませんのに……」
フローラは裸体のまま、恥じらいつつも、期待に満ちた瞳で見つめてくる。
「どうぞご覧ください。この体は、つま先から髪の毛一本に至るまで全て旦那様のものなのですから……」
まだ幼さを残した顔立ちとは裏腹に、女として完成された美しい裸体を惜しみなく披露し、フローラは俺を誘惑する。
「ゴクっ……」
染みひとつない真っ白な肌が、ほんのり桜色に染まっている姿はあまりにも扇情的で、俺は思わず生唾を飲み込む。
(確かに夫婦ならエッチするのくらい当然だよな……イヤ、でも……)
例え本当にフローラと俺が夫婦だったとしても、記憶を失った今の俺にとって目の前の彼女は赤の他人でしかない。
出会ったばかりの女と性行為に及ぶというのはやはり抵抗がある。
「申し訳ございません旦那様……もう、我慢できません!」
「っ!」
フローラの赤い唇が、上から覆い被さるように口を塞いでくる。

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