病院に閉じ込められて 3
「なあ、お腹空かないか?」
「そう言えば空いたね。歩き回りましたから。私、食堂でご飯作ってくるわ。」
かおりが部屋を出る。
「1人で大丈夫か?ここは2階。食堂は1階だぞ。」
「子供じゃないから平気です。出来たら呼び出しボタンを押しますから。食堂に来てください。」
「石川先生。私も・・」
「1人で大丈夫よ。私よりも、とおるのそばにいてあげて。」
かおりは気づいていたというか、知っていた。優子がとおるの事を好きだということを。でも、僕は優子の気持
ちに気づいてなかった。
男ばかりの兄弟の中で育った僕は、そういう…女心みたいなもんにかなり鈍いところがあった。
まあ僕はかおりに惚れていたから、他の女の子のことなんて目に入らなかったといえば、そうなんだけど;…
「腹ごしらえしたら、上の階に行くんですよね?…」
「ああそのつもりだよ…この謎を早く解明しないと、寝るに寝れないからな…」
「それじゃあ食べる前に…ちょっと二人で行ってみません?…」
「えっ?…でもかおりがいないし…」
「石川先生がいないと…ダメですか?…」
「あっ;いや、そんなことも無いけど…」
「それじゃあ食べる前に謎を解明して、石川先生を安心させてあげましょうよぉ…」
まあその気持ちも分かる…
かおりのことを置いといたとしても、この不可解な現象は一刻も早くに解決したいからな…
「分かった…それじゃ行ってみるか…」
「はい、はぐれないように手を繋いでもいいですか?…」
「あ;、ああ…構わないけど…」
ちょっと照れてしまう…
女性と手を繋ぐなんて久しぶりだ…
その時、1階からかおりの悲鳴が聞こえた。
「きゃああああああああああああ!!」
「い、今の石川先生の声ですよね?」
「行ってみよう!」
僕たちが走って食堂に行くと、かおりの靴だけ落ちていて、かおりの姿はどこにもなかった。
「人が突然消えるなんてあるんですか?」
「そんなの知らないよ。」