病院に閉じ込められて 2
「それなら行ってみるしかないな…実際に存在してはいなかった7階以上があるなんて、どう考えてもおかしいからな…」
「この建物は、私たちのいた病院では無いってことなの?…」
「ああ、それも考えられなくもないが…?」
「でも中身は私たちのいた病院とまったく同じよ…私物だって何ら変らないし…」
確かに優子の言う通り、デスクにあるペン立てや卓上のカレンダー…それにPCの中身まで全く変わることは無かった…
「どういうことなのよ?…もうミキオとも会えないってことなの?…」
ミキオと言うのはかおりの彼氏…
因みにこの病院での僕のライバル医師だったりもする…
「そんなこと僕に言うなよ;…そんなにアイツのことが恋しいなら、草の根掘り起こしてでも奴を探し出せばいいだろ…」
ついムキになってしまう…
この状況にテンパっているのはもちろんのこと、かおりからアイツのことなど聞きたくも無かったのだ…
「ごめんとおる;…とおるが頑張ってくれているのはちゃんと分かっていたのに…」
頭を垂れ、涙ぐむかおり…
まあこんな訳も分からない状況でパニックを起こすのは、かおりだって僕と一緒ってことか…
「こっちこそごめんな;…かおりとアイツが付き合ってること…まだどこか割り切れて無くてな…」
「うん分かってた…だからとおるの前では極力彼の名前を出さないようにしていたのに…私って馬鹿ね;…」
「あっ、ちょっといいかしら…?」
そこに優子が割って入ってくる…
「ああごめんごめん;…優子ちゃんを放って、二人の世界に入っちゃっていたね;…」
「ううん…そんなことは構わないんですけど…」
「ん?…それじゃあ何?…」
「そのぉ…もしかしてですけど…その石川先生が言っているミキオって…近藤ミキオ先生のことですか…?」
「ああそうだけど…」
アイツはこの病院一のイケメン医師…優子ちゃんが知っていても当然か…
「やっぱりそうなんですか…だけど石川先生と近藤先生がお付き合いしているなんて全く知りませんでした…」
「そうかもしれないはね…私たち仕事とプライベートは分けて考えてきたから、病院内ではあくまでもとおると同じように接してきたは…」