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ゼロから始める夫婦生活
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ゼロから始める夫婦生活 9

その言葉に唯の顔がぱあっと明るくなる。

「直哉さんっ!、嬉しいですっ!!」

喜んで貰えたら何よりだ。
金曜の仕事明けに出発して、どこかで食事でもして高速走って旅館に泊まり、日曜の夕方あたりに帰ってくるプランなら何の問題も無い。

資金面だが・・・
最初の俺の給料明細見て目を疑った。
0が予想より2桁多い・・・
社長って凄いんだなぁと魂の抜けた顔で明細眺めてしまったぐらいだ。
なので全く問題が無い訳だ。

「行くに当たって、一つだけお願いがあります」
「なんだい?」

喜んでいた唯が一転、真剣な表情でそう言う。
何かと思って居住まいを正す俺・・・

「恋人として、旅行に連れて行ってください・・・」
「うん、ああ、まぁいいんだけど?」

改めてそう言われてキョトンとする。
そう言えば、デートとか重ねたけど妻とか恋人だとか意識はしてなかった。

「・・・だから・・・チューして・・・旅行に誘ってください!」

頬を染めてそう言う唯。
思わず茶を吹きそうになる俺。

そう言えばそうだ・・・
まだ好きとか愛してるとか言い合ってないし、キスもしていない。
友達の延長線のデートぐらいのものだ。
今時の中高生だったら、既にキスぐらいしてて当たり前の時期だろうし・・・
明らかに待たせ過ぎだ。

「そ、そうだよなぁ・・・全くしてないものなぁ・・・」
「私はっ、直哉さんが好きになってきましたっ!・・・ちゃんと言ったから、チューしてくださいっ!」

まるで中高生レベルの会話だ。
真っ赤になって言う唯にそんな事感じながらも、それが愛らしいと思ってしまった。
俺もその時期、甘酸っぱい青春を送ってきた訳じゃないが、唯はすっぽりと抜けたまま大人になってしまっているんだろう。

俺は立ち上がり、唯の隣に座る。
それだけで唯は緊張していた。

「大好きだよ、唯・・・」

軽く頬にキス。
唯がビクンと震えた。

「・・・ほっぺはずるいです・・・やりなおしてください」

何かそう言う拗ねた感じが可愛らしい。
俺は唯の肩を抱いてこちらを向かせる。
彼女の瞳がそっと閉じられる。

 胸が高鳴る。こんな感覚は初めてかもしれない。
 「じゃあ、いくよ」
 唯は無言でそのまま留まる。
 俺は思い切って、唇を唯の唇に触れた。
 電撃が走ったようだ。特に、反応させないようにしていた股間に直撃のような衝撃だ。俺は、すぐに唇を離した。
 そのままにすると、理性がうすれてしまいそうだったから。
 「それで…あらためて、恋人として、旅行行こう」
 「ええ。うれしいです」

  「…もう一つお願いが、あるんだけど」
 「何でしょう」
 「金曜の晩にでで日曜に帰ってこようと思うんだけど、土曜の晩に…山の方の温泉に泊まらないか?」

 あの映画の町では直接的にはないが、同じ方面の山の方の温泉に、混浴風呂があることをどこかで読んだことがあって、気になっていたのだ。
「直哉さんにお任せします・・・ふふ、でも・・・」

そう言って唯が意味ありげに微笑む。

「どうかしたのかい?」
「いえ、こうやって一緒に住んでいるのに、お泊まりとかドキドキしますね」
「ああ、そうだよね・・・本当にそうだ・・・」

混浴とか意識しなくても一緒に風呂も入れる生活だ。
普段夫婦と言うのを忘れて生活してるから妙な感覚だった。

そして俺はSNSで飯野に旅行の予定だけ入れておく。
一応休日でもどこに行くかだけ報告して欲しいとは言われたしデートの時もそうしてる。
十分ぐらいして飯野から返信。
『二日分の宿を押さえておきました。ごゆっくりしてきてね』
流石秘書と言うか、対応が早い。
自分でやるつもりでいたが、優秀な秘書だけある対応力だ。

金曜日の宿が目的の街近くの近隣の温泉街で、最高級の宿の最高級の部屋。
土曜日が山あいの秘境的温泉宿で、こちらは露天風呂が自慢の所らしい。
昔の俺なら泊まれるレベルでは無いクラスの宿だった。

 そして金曜の夕方。
 俺は急ぎ会社をあとにして、唯を助手席に出発した。
 高速だけで行ける場所ではなく、着いた頃にはすっかり夜遅くになっていた。しかしそれはあらかじめ計画していたとおりの時間なので、部屋にはちょうど食事が運ばれてきたところだった。
 「お飲み物はどうしますか?」
  仲居さんの声。
 「俺はビール。唯は?どうする?」
 「私も…ビールにします」

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