(続)格好が・・・ 62
テニスコートは貸し切り状態だった。
お互い、テニスは初めてではなく、けっこうラリーは続いていき、どちらが強いということもなく釣り合った状態が続いていった。少しだけの飲み物を飲む休憩以外はほぼ休みなく、互いに5ゲームずつ取ったあと卓也が1ゲーム取り、もう1ゲーム卓也が取ったら卓也の勝ちで終わるところになった。
5月だというのに真夏の様な炎天下、そんな中で激しいプレイを続けた卓也と瑞穂は汗ビッショリだ。瑞穂はテニスウエアが透けたせいでブラジャーがくっきりと露わになっていた。
2人はマンションに戻るとウエアを脱ぎ、身体中の汗を拭いた。それから、卓也はTシャツにジーパン、瑞穂はタンクトップに短パンに、それぞれ着替えた。
2人はマンションを出ると、十数分歩いて目的のレジャー施設に着いた。そこには人工の波が発生する巨大な屋内プールがある。
卓也と瑞穂は昼食を済ませ、そして、それぞれ更衣室に入って水着に着替えた。
瑞穂が更衣室を出ると、先に着替えを済ませた卓也が立っていた。
「卓也。それ、よく似合ってるよ!」
卓也は瑞穂からプレゼントされたスカイブルーのブーメランパンツを履いていた。
「瑞穂のその水着、すげえ大胆だな!」
瑞穂がまとっているのは白地にマリンブルーの縦ストライプのビキニだが、トップはハーフカップで、胸の谷間が大きくはだけており、ボトムはローライズとハイレグが合わさった様なデザインになっていた。
「卓也に見てもらおう、っておもって、選んだんだよ」
二人はシャワーを浴びて、プールサイドを歩いた。
「ねえ、浮き輪借りよう」
「え、瑞穂、泳げないの?」
「そんなわけ無いでしょ。波の出るプール、浮き輪ある方が楽しいかな。って」
ここの施設には他に、流れるプールやウォータースライダー付きの大型プールなど、いろいろあるが、卓也と瑞穂はまず波のプールから楽しむことにした。2人は波乗りを楽しむ為、施設内で貸し出している浮き輪を借りた。
波のプールは海辺をイメージした造りになっていて、幅広い緩やかな斜面から直接水の中に入る様になっている。そして、1時間おきに波が押し寄せるが、それは高さ40p、60p、80p、1mと、4種類の大きさの波が連続して発生するのである。
卓也と瑞穂は準備運動を済ませ、浮き輪に身体を通すと、砂浜から海に入る様に、緩やかな斜面をゆっくり駆けてプールの中に入った。
2人はプールに身体を浮かべ、互いに見つめ合う。
「卓也、サーフィンやったことある?」
「いや…」
「私ね、アメリカにいた時、向こうのビーチでサーフィンやってたんだ」
「へえー!凄いな」
「夏休みになったら海に行って、一緒にサーフィンやろうよ。教えてあげるからさ」
場内アナウンスが、間もなく波の発生が始まることを告げた。卓也と瑞穂はしっかりと手をつないだ。
卓也と瑞穂は波の来る方向を見た。
だんだん水面が盛り上がってくる。まわりの人々から歓声が上がり始める。そうして最初の波が二人を押し上げ、再び下げていく。
「あんまり大きい波じゃないな」
「最初の40cmの波だからよ」