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(続)格好が・・・
官能リレー小説 - その他

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(続)格好が・・・ 54

 瑞穂は一瞬考えた。
 「え、あの、店長の、息子さんって、広夢君ですよね『アダムとイブ』とか『白き天使』を描いた」
 「そう。絵、見てくれたのね」
 「はい…」
 瑞穂はうつむいた。
 「やっぱり、息子さん、ヌードになってほしいと、思うでしょうか」

「瑞穂さん、ヌードモデルなんて嫌かしら?」
「私…心に決めた人以外に…自分のヌードは見せたくないです」
英里子の問いに、瑞穂は卓也の方へ顔を向けながら答えた。
「そう!その気持ちは大事にしなさいね。ヌードは描く方も描かれる方も大変な覚悟がいるって、私の夫も言ってたし…」
英里子は笑顔で話した。更に続けて言う。
「真美ちゃんも言ってたわ。自分がヌードになるのは広夢の為だけだって」

「私、水着とか衣装を着た姿だったらモデルを引き受けてもいいと思うけど。…ねえタク坊、それでいいよね」
「ああ!それはいいね。広夢さんに奇麗に描いてもらうといいよ」
「ふふ…広夢に伝えておくわ。…瑞穂さん程の人がモデルなら、きっと素晴らしい作品になるでしょうね」
瑞穂と卓也に対し、英里子は満足そうに言った。

その頃、自宅の自室にいた彩奈のスマホが鳴った。それは宏からの電話だった。
「よかったら、明日、一緒に美術館に行かないか?」
「うん。いいわよ」
宏の誘いを彩奈は承知した。

翌5月1日、駅前で待つ彩奈の前に宏が現れた。
「じゃあ、行こうか」
「ええ」
2人は電車に乗り、美術館へ向かった。
「沖田くんが美術に関心を持ってるなんて、何だか意外ね」
「小学生の頃、親父につき合わされて、何度も美術館に入ったんだ」
彩奈は、宿泊研修の臨海学校の時、宏がスマホの画面に『ダビデ像』の写真を示したことを思い出す。

 「あ、あの」
 「えっ?」
 「ありがとう、その…ヌードを描きたい、って、言ったときに、ダビデ像の写真出して助けてくれて…」
 「あ、いや、それは、す、吹田さんが、困っていたから…」
 「ほんと、ありがとう…」

目的の駅で電車を降りると、2人は駅から十数分歩き、美術館に着いた。その美術館ではこの時、高校生や大学生などの青少年の作品展が開かれていた。
その作品展で展示されている様々な絵画を見て回る彩奈と宏。いずれの作品も画家を志す若者が描いただけあって、見事な出来栄えだと、彩奈はそう感じた。

或る1枚の絵の前で彩奈が立ち止まった。その絵に視線が釘付けになる彩奈。
「す、すごい!」
その絵は一糸まとわぬ男性のヌードを描いた物だった。モデルは中学生か高校生くらいの少年の様な感じで、しかもかなりの美少年だ。

「この絵、やっぱり気になるかい?」
傍から宏が声を掛けた。
「うん!丁寧に木目細かく描かれていて、モデルに対する作者の強い思い入れが感じられるわ」
「こんなの、女でなきゃ描けないだろうな」
その絵の作者は竹内涼子という女性となっていた。
「そういえば、大沢のこと描いたんだろう。どうだった?」
「え、ええ!…」
宏に突然聞かれ、彩奈は胸がドキッとなった。

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