(続)格好が・・・ 32
遥と泉はスマホを出し、去年の夏休みに出会った時の、自分達の水着姿が写った写真を夏美に見せた。
「うん!懐かしいわね」
続いて、春休みにスポーツセンターのプールへ行った時の水着姿の写真も見せた。
「どっちにしても大胆ね!けど、よく似合ってるわ」
夏美は微笑みながらそれらの写真を見つめた。
遥はそれから、泉と修のツーショット写真を示した。
「泉さんの彼氏ね!」
「え、ええ…」
泉は照れながら応えた。
「あと、これですけど…」
遥が続いて見せたのは、スマホのカメラに収められた『アダムとイブ』の絵だった。
「すごい絵ね!モデルは泉さんと彼氏の子ね」
「わかりますか?」
遥と泉は、美術部の広夢が泉と修をモデルにその絵を描いたことを話した。
「この絵は今、学校の近くにある“トキメキ”という喫茶店に飾られていますよ」
遥が説明した。
その頃、1年A組の教室では、クラスの女子数人が卓也の前に集まっていた。
「ホワイトスパークのタッくんがクラスメイトだなんて感激!」
「本当!とてもカッコいいわ…」
「部活はどこにするの?」
人気アイドルグループのメンバーだっただけあって、卓也は入学早々から女子たちに凄い人気だった。
香織と望美は少し離れた位置で卓也の様子を静かに見つめていた。
香織「流石に凄い人気ね!」
望美「ホワイトスパークって…そんなに凄いの?」
香織「そりゃあ、ホワイトスパークのメンバーといえば、ルックスやスタイルが良くて、歌も運動も凄く上手な男の子たちばかりだからね!」
香織は小学生の時からずっとホワイトスパークに感心を持っていた。しかし、小学1年生の時から新体操一筋の望美は芸能関係に関心が薄かった。
そこへ、C組になった光輝がA組の教室に入って来て、香織と望美の傍に近寄って来て言った。
「貴女達、ホワイトスパークのタッくんと同じクラスなんですってね。いいわねえ…」
また、更に理香と美香の姉妹もやって来た。
「うわぁ、ほんとにタッくんいる」
理香と美香も会話に加わる。
「理香ね、トミー推しだったんだよ」
「美香も」
トミーこと、小沢富昭は、ホワイトスパークを卓也と同期で卒業していた。( 「ビキニボーイ ビキニガール」参照)
「トミーってソロデビュー目指してるんでしょ、めっちゃ楽しみ。タッくんと仲良くなったら、トミーにもお近づきに、なれるかなあ」
「ちょっとぉ、人をダシに使うの失礼だよ」
香織が双子をたしなめる。
光輝「臨海学校、楽しみだね」
望美「うん!水着や体育着も受け取ったしね」
オリエンテーションの時、新入生たちは学校指定の水着と体育着を渡されていた。
この学校の体育着だが、男子は青、女子は赤のジャージを着る。それと、男子は白い反袖シャツにハーフパンツで、女子も昨年度までは男子と同様だったが、今年度からセパレートタイプの白いレオタードを着ることとなった。
これは、新体操部で着ているようなレオタードを着てみたいという多くの女子生徒たちの希望があったこと、また、遥たち生徒会が推奨するプリティーホワイトの一環でもあった。セパレートタイプとしたのは、着替え易さと、着用中にトイレに行きたくなった場合を考慮してのことだった。
「タッくんのビキニパンツ姿…目の前で拝むの楽しみだわ」
「光輝ったら…エッチね」
光輝の言い様に望美は呆れる。
4月中旬、新入生は1泊2日で、宿泊研修で臨海学校へ行くことになっている。
「有村さん、北原さん、その子たちは?」
話をしている望美たち5人の傍に卓也が歩み寄って来て尋ねた。
「1年C組、星野光輝です。望美ちゃんと一緒に新体操やってます」
「1年B組の川村理香です。私も新体操やってます」
「理香の双子の妹で、B組の美香です。香織ちゃんと同じく水泳部です」
卓也の問いに、3人はそれぞれ自公紹介した。
「そう!どうぞよろしく」
卓也は満面の笑顔で返事をした。その笑顔に一同、特に光輝はとてもうっとりとなった。
「タッくんはどの部に入るの?いろんなスポーツが得意なんでしょう」
「うーん。どうしようかな…」
光輝の問いに対し、卓也は迷った様子を見せる。
卓也はホワイトスパークに入る前、両親の方針で基礎体力を鍛える為、幼稚園から小学2年の時まで柔道と水泳を習っており、中学の時はテニス部で活動していた。また、ホワイトスパークの活動では、テニス、水泳、野球、サッカー、バスケットボールなど、少しずつではあるが、様々なスポーツを経験していた。