(続)格好が・・・ 14
「森崎さんの絵だ。やっぱりすごいなあ」
望美はその絵を改めてまじまじと見つめた。
「あの麻生先輩が書いたんでしょう。森崎さん飛び出してきそう」
「私もこんなふうに書いてもらえたらいいな」
二人がその場にとどまっていると、やはり入学手続きに来た春樹が通りかかった。
「やっぱり麻生先輩はすごいなあ!…絵の中の森崎さん、輝いてるよ」
春樹はすっかり感動し、その絵をじっと見つめる。
「麻生さんの腕もすごいけど、何たってモデルが素晴らしいから」
雪乃に憧れる望美が言った。
「私も…水泳部でエースになったら麻生さんに描いてもらえるかな?」
香織が言うと、
「そうね。私も新体操部のエースをを目指して頑張るわ」
望美も言った。
春樹「僕も腕を上げてみせるから、君たちのことを描かせてよ」
望美「あら!貴方、人を描くのは苦手なんじゃなくて?」
香織「無理しないで、自分の得意な分野で頑張ったら」
3人が話している所へ紗綾香と真美がやって来た。
「貴女たち、入学手続きは済ませたのかしら?」
「はい。制服も注文しました」
真美に聞かれ、望美が応えた。
「そう。水着やレオタードなんかも購買部に申し込んでおくといいわ」
「はい。わかりました」
紗綾香に言われて香織が応えた。
紗綾香「ところで、水着は持って来た?」
香織「はい。中学の水泳部のやつですけど」
望美「私も、中学の新体操部で着てたレオタードを持って来ました」
この日、各運動部では、入部を希望する新入生を対象に練習への特別参加を勧めていた。この事は入試の日に配られたビラに記されていた。
望美は真美から、香織は紗綾香から、強く誘われていたので参加することを決めていた。
望美と真美は体育館へ、香織と紗綾香は体育館地下のプールへ、それぞれ向かった。
体育館の中へ入り、望美は驚く。そこには白いレオタード姿の雪乃がいたのだ。
「あら。望美ちゃん、こんにちは。待ってたわ」
雪乃は満面の笑みで望美に声を掛けた。
真美が説明するには、望美と一緒に練習したいとのことで、雪乃は特別にこの日の練習に参加することにしたのである。
「あ、あの、森崎さん、いえ、森崎先輩と練習できるなんて、ゆ、夢みたいです」
「緊張しないで。私、あなたと練習できるかなあ、って、楽しみにしてたの」
雪乃は右手を差し出した。望美はおずおずと握手した。
「望美ちゃん、こっち」
真美は、望美を体育館から一続きの建物にある更衣室に案内し、入った。
「入学したらここにロッカー借りて着替えとか置けるよ。今日は私のロッカー使って」
望美と真美は早速レオタードに着替えた。望美が着たレオタードは紫色だった。
「私も早くその白いレオタードを着たいです」
望美は白いレオタード姿の真美を見つめながら言った。
たった1日だけとはいえ、憧れの雪乃と一緒に練習できることに望美は感激していた。できることなら、ここの新体操部のユニフォームともいうべき白いレオタードでやりたいと思った。
一方、香織は地下の更衣室で紗綾香と一緒に着替えていた。
「香織ちゃんの胸…結構大きいわね!」
紗綾香は、服を脱いで下着姿になった香織の胸を見つめながら言った。遥や泉ほどの巨乳ではないが、香織は紗綾香がうらやむほどの膨よかな乳房をしていた。
「ええ。最近、またちょっと大きくなっちゃいまして」
香織は恥ずかしそうに応えた。
「いいわね。うらやましいわ」
紗綾香は胸が小さいことでコンプレックスを感じており、遥や泉にからかわれたこともあった。
「でも紗綾香先輩、あんまり胸が大きいと、競泳水着を着てる時…胸がきつくてたまらないんです。…私、それで悩んでるんですよ」