貴方の人生、変えちゃいます! 3
水色のショーツ。
鋏か何かで素人が切ったのではなくて、明らかにデザインの段階で肝心なところが開けてある。
恐らくは女性の割れ目より少し大きいサイズ。
穿いてしゃがめば、目の前にいる人にはしっかりとショーツの中の割れ目が見えそうだ。
でも布地の面積は結構広いし、肝心なところがしっかりと開いているだけで他の部分は卑猥さを狙ったデザインには見えない。
エマさんは清楚なタイプだしこういうの、着たら似合うけど性格的におそらく着ないよな…でも着てたら素敵だよな…
エマさんだろうか………彼女じゃないとすると、水島さん……?
この辺りでコレが似合いそうな女性と言えばはす向かいに住む未亡人の水島敦子さん。
あの人……水島さんはご両親から相続したというあの家に一人で暮らしている。
陰のある美人で、誰もが抜群の美しさに目を引かれる。俺だってそうだ。
でも今は誰も彼女に近づこうとしない。
恋人や旦那が数人、相次いで亡くなった「呪われた女」として彼女を知る人からは避けられてしまっている。
一時は保険金絡みじゃないかという疑惑まで持たれて警察に事情聴取されたこともある。
しかしそのような事実はなく、水島さんは普通の生活を送っている。
最近は庭の手入れもしていないのか雑草が生い茂ってしまっている。
外出する姿もあまり見ない。なんだか残念だ。
…今日も勉強は捗らなかったな。明日また頑張るか。
「高松さんっ」
エマさんが俺を呼んでいる。何の用だろう。
スマホのアドレスは交換してあるけれど、今回は直接入口に来てくれた。
自分の服装が普段着としてだらしなくない事を確認してドアを開けると、青いニットのワンピースに身を包んだ彼女がいた。
今日は体のラインが割と見える装い。
裾から見える白い足が太くはないのに何だかおいしそうで綺麗だ。
結構大きい彼女の胸を包む、ワンピースの胸元も少し谷間が見えていてほんのりと色香を放ってる。
「これ、一緒に見ませんか?」
DVDのケースを出してきた。パッケージを見てみると、牧師らしき男性とレディーススーツ風の女性が拳銃を構えた背後にゾンビらしきものが多数。
「ホラー映画ですか?」
「こういうの好きなんですよ。友達と見るはずだったんですけど、急用で見られなくなっちゃって。」
この手の作品はちょっと苦手なんだけど、エマさんも一緒だからまあいいかな、と思う。
一人じゃ絶対に見ないだろうな。
パッケージを受け取りディスクを取り出し再生させる。
普通の映画作品をこのプレーヤーで見るのって初めてかもな…
ゾンビが出てくる割にはそうグロいわけでもなく、普通に見れる気がした。
エマさんは隣で肩を寄せてきた。こっちの方がドキドキする。
シーンが切り替わる。
薄暗い部屋の中で、パッケージに映る主役の男女がベッドの上で濃厚に絡み始めた。