格好が・・・ 3
「これ、個人情報漏れなくて、よかったよね」
「うん」
先日の「盗撮」示談の話がネットをまだ賑わせている。
被疑者側の弁護士と、被疑者だった男の名前は出回っていたが、泉の名前は一切出ないのは、恥ずかしかった泉にとって救いだった。
「それで、この話以来、パンティの写真撮っても、仮に警察に行っても『撮影は相手に一言断ってからな』とか注意だけで帰される、とか、警察の対応が変わってきてるみたい」
「そうなんだ…私たちも、見せてるんだから、それが正しいのかもね…」
「その上にブラも丸見えにしてるから、仕方ないよね。」
「それに、こんな格好ばかりしてると、くせになって、この間吹奏楽の女子が体育館で、演奏している時に、最初は足を閉じていたのに、いつの間にかみんな足が開いて、パンティ丸見えで演奏ということがあって」
高校生の男子にとって学校で、女子がブラとパンティが丸見えで、しかも恥ずかしそうにしてるから、男子にとっては天国である。
しかも、女子高生の間では、見せブラや見せパンやキャミは時代遅れということになり、みんな着ていない。
吹奏楽の話から、遥は思い出したようにスマホを操作した。
「学校の公式に乗ってる画像がこれだよ」
泉も、その、学校の公式サイトを覗き込んだ。
「これが載ってるんだ…」
そこには、その、女子生徒はパンティ丸見えのときの画像が、吹奏楽部の演奏風景としてUPされていた。
「そう思うと、何か、盗撮なんて…騒いじゃってごめん」
「いいよ。私も、遥がそういう目に遭ったら、多分同じことをしたと思う」
「はーい、卒アル委員でーす」
一人の小柄な女子がパタパタと、そのままパンティが見えるような勢いで走ってきてスマホを構えた。
この高校では、一年生から卒業アルバム委員を選んでおき、三年間の思い出の写真を蓄積していく。
泉達はそろってピースサインをしてカメラ目線になる。
当然、足は開かれた状態で、写真は撮られた。
「ところで、これ、大昔…昭和くらいには『ピースサイン』って言っていたんだって」
撮影が終わってから、遥は、自らのV字の指を示して泉に言った。
「へえ、何で、ピース、なんだろう??」
「さあ」
「写真だけじゃないよ。スタイルのデータも載るんだって」
「体重も?」
「もちろん。スリーサイズも」
この高校では座高は廃止されても、女子は胸囲に留まらず細かく計られていた。貧乳の女子が胸に目が行かないようにとパンティ丸見えを流行らせたという説もある。
丸見えが当たり前なので、脱毛の需要も多い。ブラもフランスのようにスケスケで見せるのを意識したものが主流で、パットでごまかせないという厳しさだ。