貧乏少女を幸せにする方法 4
愛華ちゃんに続いて家の中へ。
初めてきたときと中はほとんど変わっていなかった。
「あっ、岩川さん」
奥のリビングに入ると、睦月ちゃんがこちらに気づいて声を上げる。
それを見て、何やら本を読んでいた弥生ちゃんと、皐月ちゃんも顔を上げた。
「久しぶり。元気にしてた?」
「はい…何とか」
『何とか』という言葉、なんともいえない。
この状況を打開するために、僕に出来ることは何かないだろうか。
「この家も、君たちの生活も、何とかできないかなぁ」
「そうしたいと思っても、お金がないので…」
僕がリビングを見渡しながら言うと、愛華ちゃんがソファーに座って言う。
彼女たちのケア…社長はこうも言っていた。
「岩川くんの家もそうだけど、知り合いや伝を利用して彼女たちの生活を支えてほしい。これからやることは金貸しなどではなく、彼女たちへの投資なんだ」
投資。
社長は確かにそう言った。
彼女たちに投資する。つまり、彼女たちの生活を支え、助けるということだろう。
それならば、諸手を挙げて協力したい。
僕の実家は不動産屋で、依頼主の社長も父親の古い友人だった。
きっと父さんも協力してくれるはずだ…
「私たち、これからどうなるんでしょう」
愛華ちゃんが心配そうな表情で尋ねてくる。
「大丈夫。みんなが恐れていることには、絶対ならないから」
「岩川さん…」
「信じていいんですよね?」
睦月ちゃんが縋るような視線を投げかける。
「それはこれからの交渉次第だけど、悪い方向には向かわせないよう、決まると思う」
向かい合って座る4人の表情が変わる。
「本当、ですか?」
睦月ちゃんが声を震わせている。
「ああ、だって君たちには責任はないんだもの」
親が残した借金だからといって、彼女たちに全額返済を求めるのはあまりにも酷だ。
それはしたくないと社長も言っていた。