貧乏少女を幸せにする方法 5
「岩川さん…」
「ありがとうございます…」
睦月ちゃんが、愛華ちゃんが、みんなみんな、瞳を潤ませて僕を見つめる。
「…泣くなよみんな、まだ何にも始まってないじゃないか」
「でも…」
可愛い女の子の涙なんて見たら、僕だって…
『うわぁぁああ〜ん!!!』
いっせいに涙目の女の子4人に抱きつかれました。
「おいおい、みんな泣き虫だなぁ…」
そう強がる僕だが、内心もらい泣きしそうだったのは秘密だ。
確かに売り飛ばして風俗で稼がせればすぐにでも返済できるかもしれない…しかし彼女たちはまだ若い。それにそんなことはさせたくない。
…4人とも可愛いんだから、幸せにしてやりたいよな。
僕はそう誓った。
「…さて、まずは何をしようか」
部屋の中と、4人の女の子を見ながら僕は考えた。
…そのとき
窓の外で車のエンジン音がしたので、急いで外に出てみる。
「ああ、岩川の坊ちゃんか、ここに来てたんか」
「こりゃどうも」
依頼主の社長さんの『右腕』である湊さんだ。
大柄で強面ではあるが、喋ると気さくな人。
…ああ、でも睦月ちゃんは初めて会うから怖がってるな。
「そっちはどうですか?」
「うーん、何も進展はないねぇ。高飛びされちゃったかも知れんわ」
…湊さん、睦月ちゃんの前でそれ言うのはちょっと。
「まあもし仮にこの世からおらんくなったとしても保険金が…」
「それちょっと…」
「ああ、すまんな、娘さんおったんか…可愛い子だなぁ」
「水越さん家は3人姉妹で、もう一人新海さんって言う友人の娘さんも住んでます」
「そうか、こんなに可愛い子が…」
「ええ」
睦月ちゃんにも湊さんを紹介する。
見た目は怖そうだけど、中身はいい人だと強調しておく。
「坊ちゃん、怖そうって言うのはちょっとなぁ」
「誰だって最初はそう思うはずですよ」
「さっき、私の両親について、何かお話してましたよね…?」