生き残っているのは? 6
「はぁはぁはぁ……助かった……のか」
命が尽きる前に偶然、冴子から離れる事ができ、僕は九死に一生を得た。
身体の力が全く入らないので、目だけで冴子を見ると、逆流の刺激で絶頂に達し気を失っていた。
そしてその隣では飛び散った精液で絶頂したのか、まりもまた絶頂し気絶していた。
「と、とりあえず……助かった」
僕はようやく萎えてきたチンコを眺めつつ、生きていられた事に安堵した。
一休みしたらこの場を離れようと、僕は心に誓った。
女から隠れて暮らすようになって10日。
恐れていた事態が遂に起きた。
手持ちの飲料水が尽きたのだ。
またあの理性を失った女達が彷徨う街に、必要な物を取りに出ないといけないと思うと、とても気が重くなる。
だが無くなってしまった物は仕方ない。
僕は大きなため息をつくと、出かける準備をするのだった。
今更だが僕も男だ、女の子とエッチな事をしたいという気持ちはしっかりある。
だが今街中を徘徊している性欲の塊となった女は御免だ。
やっぱり女の子は清楚で、慎み深い淑女な娘が一番に決まっている。
そして僕の前でだけ、淫ら乱れてくれるそんな子とエッチがしたいんだ。
そんな今となっては実現不可能な夢を思い描きながら、準備を終えた僕は家を出た。
ガサガサッ…
物音に、僕は、ぶつかって壊れた車の陰に隠れる。
物音の方向を見た。イノシシだ。この世界になって、初めて人間以外の動く動物を見た。
山の中から、人がいないからと、だんだん里に降りてきたのだろう。
イノシシは僕に気づくこともなく去っていく。
ふう…
車!
今まで何で気づかなかったのだろう!
僕は車の免許は持っていないが、キーで起動し、サイドブレーキを解除し、アクセルで加速し、ブレーキで止まる、くらいの知識は持っていた。
隣の一戸建ての駐車場に、適度に小さく、無傷の車が止まっていた。僕は庭で大きめの石を拾ってガラス戸を割って解錠して土足でその家に入った。
几帳面なまでに整頓されたリビング。車の鍵はすぐに見つかった。
僕は速やかに車の鍵を開け、キーを差し込んだ。
ガソリンは満タン近い。きっと数百qは走れる。
目指すは、車で行ける最大都市!大きい都市に行けば、なんらかの情報は手に入るだろう。
カーナビに現在位置が表示された。衛星の電波は生きているようだ。
僕は、イメージで、その最大都市の庁舎を目的地にセットした。
「案内を、開始します…」