生き残っているのは? 15
だけどお腹の中の子供は、少しずつ大きくなっていく。
相変わらず黒虎は食料を持ってきて、白獅子も時々食糧調達に出るようになった。
必ずどちらかが僕といっしょにいて、食べるか犯すか、何とはなしに眺めるかという毎日が、現実感の消えた僕の前の、道路向かいくらい先で流れゆく。
だからこの日の事も、僕は動画サイトかテレビの映像のように見ていたんだ。
「よく来たな。歓迎するぞ」
「歓迎ってね…無理やり連れてきたんでしょう」
「助かったんだから大人しくした方が幸せだぞ」
僕相手にはほとんど喋る事の無かった、白獅子が喋っている。
しかも若い女の人を担いで運んでいる。
着ている服はボロボロで、かろうじてリクルートスーツらしいとわかる。