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そして、少女は復讐する
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そして、少女は復讐する 75

それは、その後のクリスマスパーティーでも遺憾なく発揮されたのである。


椎名家主宰のパーティー。
大きな会場を借りきってのパーティーは椎名家では幾度となくあるが、今回は特別な意味があった。

「よく来てくれたね、敦くん!、いや本当によく来てくれた!!」

大袈裟なぐらい喜び敦の手を握る一希の父。
彼は椎名家の当主、そして椎名グループの総帥であるが、敦の父とは少し立原が違う。

椎名グループは古くからの名門で、戦後の混乱を乗り越えて成長。
一族でグループを守り今に至ると言う。
敦の生家、須藤家は同じく名門であったが戦後の混乱で没落。
破産寸前でグループは崩壊。
それを殆ど一人で建て直したのが敦の父、巌である。

グループの規模としては椎名家が上なのだが内容が違う。
一族がそれぞれ会社を率い、何かと本家に意見したり、互いに権力争いする椎名家は一枚岩ではない。
それに対し巌の手腕で再興した須藤家は、彼に逆らえる身内はおらず一枚岩。

椎名本家とそれに従う者だけで見ると反本家派より規模は小さく、須藤家の勢力と合わせれば圧倒できる。


つまり、一希の父にとってこの政略結婚は必要不可欠なものだった。
それだけにこの喜びようだった。

「我が息子がお役に立ててなりよりですな」

貫禄のある渋い中年。
そんな風な敦の父、巌が笑う。
彼もご機嫌なのは、須藤家にとってもメリットだからだ。
椎名本家に近い会社の分野は須藤家が弱い業種が多い。
だから、この結婚は彼にとっても大きな成果で、どら息子の敦が役に立った事にご満悦なのだ。

「ご心配をおかけしました・・・敦さんのような素晴らしい人と婚約させて頂いてありがとうございます」

笑顔で頭を下げる一希に一希の父はホッとした表情。

「なんなら敦くん、すぐに一希を持って帰ってくれていい!、いつ孫ができたってかまわない!」

一希の性癖に悩んでいただけに一希の父は若干の必死さがある。

「なら、花嫁修業を須藤家でやらして頂いてかまいませんか?」

一希が微笑んでそう言うと、一希の父はよく言ったと小躍り。
敦も微笑んで言う。
「僕は大歓迎です・・・父さんさえ良ければ、離れで一希さんと暮らしたいと思います」

「ああ、そうするといい・・・椎名さん、娘さんを喜んで預からせて頂きますぞ」

両親の許しを得た事で敦と一希は目配せして笑い会う。
二人の目的もこれで達成できたのだ。

その後、二人は来賓に挨拶しながら時間を見て会場から抜け出す。

「お疲れさま」
「敦さんこそ、お疲れさま」

共に戦いを終えた戦友同士と言った表情で共にねぎらい合う。

「しかし、昔に俺をフッた時の一希に比べて本当に大人になったよな」
「ええ、間違いなく鉄也さんが私を女にしてくれたからよ」

そう返しても敦は笑う。

「全くだ!、鉄也の調教でいい女になったよ一希は」

変態的な性癖故か、敦の器も変態的に大きい。
他人に仕込まれた女とか、誰でも股を開くビッチとかがお気に入りなのだ。
千恵子が好きなのも、その当たりなのだろう。

「でも私、勤めが終わるまでは貞淑な妻をやりますわよ」
「多少浮気ぐらいしてきてもいいぜ」

笑いながらそう言う二人だが、一希は首を横に振る。


「駄目よ、浮気じゃ済まず本気なっちゃうから」

そう言い返す一希の腰を抱き寄せ唇を奪った敦は、少しいたずらっ子のような表情で笑う。

「じゃあ、奥様がご満足頂けるように、今から帰って致しますか!」
「ええ、あなたとのセックス嫌いじゃないから大歓迎よ」

恋人や夫婦と言うより同盟者や戦友と言った方がいい二人。
互いにいい理解者であり、いいパートナーだろう。
寄り添いながら会場を去る二人・・・
夜はまだ始まったばかりだ。


「一希様…これからは何なりと私どもにお申し付けを…」
「ええ、よろしくお願いしますわね」

会場から戻ってきた敦と一希。
その2人を出迎えたお手伝いさんの亜美。

亜美とて敦に抱く気持ちは存在する。
しかし、自分はそれに相当する身分ではない。
ならば、出来る限りこのままを貫く。そして一希にも忠誠を誓う。

それが、今の彼女に出来るたった一つのこと。

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