つまり、彼らに因縁のあるドラッグだった。

「小田村組の組長及び若頭逮捕により小田村組は解散しましたが、どうやら偽装解散だったようです・・・若頭、枚岡が企業舎弟である河内スポーツ社長の河内にドラッグの調達を指図して、河内が半グレのリーダー布施にドラッグを渡して売春組織を作ったのがあれのようですね」

河内と言うのはエリスと共に高級車に乗っていた男だ。
スポーツ用具店の社長だが、本業はそれなりであるが羽振りの良い男との噂だ。
組の企業舎弟で裏の金があるのなら納得できる。

「ユカリンの虐めの件も、どうやらきな臭いな」
「はい、恐らく彼女そのものが売春の狙いと言うより、変な連帯感や仲間意識で援交グループに誘導する為とも考えれますね」

敦は半年前の事を思い出していた。
夏休みの前ぐらいの事、鉄也がいきなり『村田由佳理って女知ってるか？』と言い出した事・・・
敦や健二もノーマークだった女の名前が出て来て戸惑った覚えがあるが、その頃から鉄也は何かに感ずいていたのかもしれない。

考えられるとすれば、健二の姉の件とこの問題がリンクするかもしれないと直感したのかもしれない。
あの野性的な本能の持ち主の鉄也だがら、あり得ない話ではない。

「色々繋がってきたが、後一つピースが足りないな」

敦は考え込みながらそう呟く。

「由佳理さんのクラスを裏で操っていた人がバックに近い人なのかしら」
「ああ、そうだな・・・恐らく朝比奈小百合は俺が考えてた以上に食わせものだな・・・あれがバックと繋がってるのだろう」

一希の問いに敦がそう答える。
何となくだけど見えてきた。
そして思ったよりも厄介かもしれない。

「亜美、慧にドラッグのルート探らせてくれ・・・そこが奴らの尻尾だろうしな」
「はい、ちょっと大事になりそうですね」

亜美の返事に敦も頷く。
これは敦と一希の家の力だけでなく警察や政治家まで絡んでくるかもしれない・・・
流石の敦とは言え、思った以上の大事に緊張してしまうのを感じていた。