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そして、少女は復讐する
官能リレー小説 - その他

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そして、少女は復讐する 74

金髪に染めた髪を盛り上げ、メイクはばっちり。
露出多めの服装はどうみても20代前半のキャバ嬢にしか見えない。
だが、似合ってると言うか・・・
彼女が店でナンバーワンの嬢ですと言われても納得できるぐらい綺麗ではある。

「鉄ちゃ〜ん、来たわよぉ〜」

鼻にかかった甘い声。
オトコに媚びる声だ。
麻由美、由佳里、麻衣子なんかはどちらかと言えば、こう言うタイプは苦手系。
だが、由佳里は美香や千恵子との付き合いで慣れてきてはいた。

「こんな母ですいません・・・お邪魔します・・・」

ちょっとヤンキーっぽさがある暁美ですら普通に見えてしまう不思議。
恐縮する娘に気にする事無く愛は鉄也に近づくと、抱き付いてしなだれかかる。

「いいなぁ・・・鉄ちゃん、セックスしてたんだぁ・・・」
「ったりめぇだ!、こんだけイイオンナ居て抱かねえとかインポだろ!」

早速尻を鷲掴み。
この男、何時でもセックスは臨戦態勢である。
だが、この男の真骨頂はここから・・・

「アケミも来い!」

手を伸ばし暁美を呼ぶ。
一瞬戸惑う暁美だが、由佳里がその背中を押す。

そして、鉄也の方に押された暁美は鉄也に引っ張られ抱きとめられる。

「可愛いアケミを今日はたっぷり可愛がってやるからな」
「鉄也兄さん、恥ずかしいよぉ・・・」

鉄也の臆面の無い言葉に赤くなる暁美。
多分、本能的に暁美の寂しさとかを理解している・・・
そう言う男だ。
だから、こんな男でも女が惚れて離れられないのだろう。
鉄也が他の女を抱こうと許せてしまうのだろう。


そうしていると、一希が風呂から出てきた。
周囲を気にする事無く全裸で鉄也の前に来ると、微笑んで正座した。
そして三つ指ついて頭を下げる。

「一希は、これより嫁いで参ります・・・」

結婚はまだ先で婚約だけであるが、これは彼女の最後のけじめだろう。
鉄也も静かに頷く。

「ああ・・・敦に可愛がって貰いな」

まるで嫁ぐ娘にでも言うように鉄也は言う。
一希の気持ちからしてもそうだろう・・・
鉄也の元から嫁ぐと言う気持ちだ。

そして顔を上げた一希は千恵子の方を見て言う。

「千恵子さん、明日より敦さんの傍に寄らないでください・・・彼の傍にいるのは妻となる私なので」

敦と千恵子の関係を考えれば酷い言葉かもしれない。
だが、千恵子は笑っていた。

「分かってるって、アタシみたいなビッチがお坊ちゃんの傍にいるとマズいもんな!」

敦は千恵子を愛してる、千恵子も敦を愛してる。
だが、立場を理解しない千恵子で無い。
一希は立場上そう言わざるを得ない事を理解してるし、千恵子にとって一希も親友だ。
敦を愛しつつも親友を想って行動するぐらいの分別はある。
一希と千恵子の笑顔にはそんな思いと覚悟があった。

そして一希は翼を見る。

「翼・・・私が敦さんの子供を産む時、一緒に子供を産んで欲しいの・・・」

互いに心通じ合わせた者だから分かる思い・・・
翼に求めているのは、自分が望んで得れない鉄也の子だろう。
はっきりと初めて言葉にしたが、翼も薄々とは感じていたし、もうその覚悟はできていた。

「うん・・・私と一希の子供達もずっと一緒にいれるといいよね・・・」

翼も千恵子も己の進むべき道を見出していた。

そこに重苦しい空気はなかった。
部屋にいた皆、笑顔だった。

立ち上がり、もう一度深々と一礼して、一希は部屋から出て行った。

「一希ちゃんも敦くんも、幸せになれるといいですね」
「あの2人なら、きっと大丈夫よ」
由佳里の言葉に、愛がきっぱりと返した。

「まず結婚は愛じゃない、金銭面も精神面も全てにおいての利害の一致、一生を賭けた売春よ。」

この女、この母親は何ひとつの躊躇いもなく結婚を『売春』と言い切った。
昭和の頃は永久就職と呼ばれ、最近のドラマでも結婚を一種の契約とも暗喩された。
更に上をゆく愛の暴言かつ妄言さえ、この場にいる誰一人として否定しなかった。

今更ながら敦と一希、一緒になる条件が揃いすぎているのだ。
後々は親の七光りに頼らずともやっていける優秀なビジネスパートナーとしての相性、そして何よりもゲイ夫婦として認め合えるシンパシー。
この二つの要素ばかりは鉄也でさえ埋められない。

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