そして、少女は復讐する 61
いつもより意地悪にそう言う鉄也は、ゆっくりとした腰の動きさえ止める。
由佳里はもどかしさに悶え尻を振った。
そして鉄也は由佳里から剛直を抜き、ニヤリと笑ってその場に座った。
「エロメスらしく跨って腰振れよ」
由佳里を試すような物言い。
確かに今までの由佳里のセックスは受け身。
誰とやろうが受け身のセックスだった。
だけに、鉄也の言葉には由佳里も若干戸惑う。
「俺のモノだったら腰振って奉仕しな」
戸惑いながらもその言葉に由佳里は動き、鉄也の竿に手を添えてその上に跨る。
「はぁん・・・由佳里のビッチマ○コで鉄也くんのオチン○ンズコズコするね」
鉄也の首筋に腕を回し腰を動かす。
いつもより快楽が増した気がしてきた。
「んんっ、はあぁああ!なんか、鉄也くん、すごい…」
「おいおい、俺は1ミリも動いてないぞ?」
自分から腰を動かし恍惚の表情を浮かべる由佳里。
あの冷たい無表情の少女が、自分のせいだとはいえこんなに変わるなんて…鉄也は苦笑した。
悦んで腰を振る由佳里を見ながら、鉄也は今後の事を考えるのだった。
そして、すっかり年の瀬が迫った頃。
悠馬は里菜と共に鉄也に呼び出されていた。
丁度、悠馬も鉄也に話があるので都合良かったが、呼び出された先は村田家・・・
何事かと思いながらチャイムを鳴らすと、出てきたのは由佳里だった。
「悠馬くん、里菜ちゃん、待ってたわ」
ドアを開いて現れたのは全裸の由佳里。
しかも、情事の痕跡が股から滴り落ちるが、本人は平然としたもの。
むしろ悠馬の方が赤面してしまう。
隣の里菜は若干目を細めただけで表情は変わらない。
「お・・・お邪魔します・・・」
視線を泳がせながらそう言って上がる悠馬。
リビングに入るとソファーに座り、麻由美を貫く鉄也・・・
由佳里の様子で想像できた光景だった。
「おう、来たか悠馬!・・・麻由美、茶の用意しな」
鉄也の言葉に麻由美は竿の上から立ち上がる。
少しふらつきながら悠馬に挨拶すると、台所の方に向かって行く。
鉄也は事後の一服とばかりに煙草を咥えると、隣に座った由佳里がサッと火をつける。
何となくだが、鉄也と由佳里と麻由美の関係が変わったように悠馬には感じたのだ。
「今日は話があってお前を呼んだんだ」
「うん、僕も話がある」
鉄也は悠馬の答えを聞きニヤッと笑う。
どうやら悠馬の話が何なのか想像できたらしい。
「まず、こっちの話だが・・・俺はあの家に住むわ」
あの家とは真琴達の住む桐間家の古い屋敷だろう。
一応鉄也の家であるから一々報告する事でも無いが、この後の話が本題となるだろう。
「一応俺はジジババの養子って事であの家の名義は俺なんだわ・・・だからこことアパートは引き払う」
鉄也が祖父母と養子縁組してるのは相続の為だろうとは予測できる。
しかし、アパートは兎も角、ここは村田家だろう・・・
「それとな、麻由美と由佳里だが・・・今後、桐間麻由美と由佳里になるぜ」
この言葉には悠馬は驚き里菜の目は更に細くなる。
結婚ではなさそうだ、鉄也の年齢的に・・・
あっけに取られる悠馬の代わりに里菜が口を開く。
「苗字を変える意味は?」
「俺のモノだからな・・・所有権をはっきりさせた」
理由にならない理由だが、何故か鉄也だけに納得できてしまう。
ただ、深い理由は伏せている気がした。
そして、ここまで話を聞いて、悠馬はある考えに至った。
それこそが悠馬が聞きたい事だ。
「鉄也くん・・・鉄也くんが真琴さんをけしかけたの?」
意味を理解した鉄也は無言で笑う。
そして旨そうに紫煙を吐き出した後にこう言う。
「全てが上手くいくと思っちゃあいなかったがな・・・」
数日前の事だ。
頻繁に食事に訪れるようになった真琴とのやり取り・・・
その日、閉店間際の比較的暇な時間にいつも通り真琴がやってくる。
真琴が来ると店を閉め、竜馬がまかないを作り、悠馬も里菜も一緒に食事するようになってきた。
竜馬がどうも真琴を気に入ったらしく、真琴も満更で無い。
いやむしろ今思えば、真琴のさりげないアプローチに竜馬が引き込まれたという感じであった。