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そして、少女は復讐する
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そして、少女は復讐する 41

混乱しつつもぞもぞ動き、どうにか脱出できないか探っていると、ドタドタと足音。
裸だと思い出し身を竦めるが・・・

「由佳里っ!!」

その声にホッとした。
鉄也だ。
鉄也は健二と共に体育倉庫に飛び込んでくると、由佳里に近づき腕の戒めを外していく。
涙が溢れ、自然と嗚咽が漏れる。
ホッとしたせいで恐怖がダイレクトに蘇り身体も震えた。

「畜生っ!!、やりやがったなっ!!」

戒めを解こうとする鉄也の怒りの声。
まだ目のガムテープは取れないが、彼の怒りは見ずともわかる。
だが、鉄也と健二が戒めを解くのに四苦八苦してると、更に足音。

「こらぁっ!!、貴様ら何してやがるっ!!」

ゴキっと凄い音で鉄也が吹っ飛ぶ。
殴った相手は体育教師だった。

「コイツらが村田さんを襲ったんです!!」

美咲の声。
これは何・・・

混乱しながら呆然としてると身体にタオルがかけられ、戒めがハサミで切られる。

「村田さん、もう大丈夫だからね」

女の声、多分桜木派の女子だが、何故彼女が心配を・・・

「おいおい、俺らが何を!!」
「黙れ!、問答無用だ!!、貴様ら退学もんだぞっ!!」

怒り狂う体育教師の声を聴きながら、由佳里はようやく理解した。
つまり、ハメられたのだ・・・

由佳里が今、どうにかなってるのは鉄也達がいてこそ。
だから由佳里を使って鉄也達をハメて追い落とそうとしてるのだ。
しかも、教師からの信頼度は天地の差・・・
この誤解を解かないとマズい。

由佳里が何か言おうとした瞬間、彼女を抱きしめる女性・・・
担任の朝比奈小百合だ。

「大丈夫、もう大丈夫よ村田さん!」

ややこしいのが来たの一瞬思った。
事なかれ主義の徹底した彼女なら、都合のいい解釈しかしない。
つまり、鉄也達を悪者にして『自分のクラスは平和』と思ってしまいたいのが顔にも出ている。

「ち、違うの!!、彼らじゃないのっ!!」

そう言っても犯人の顔すら見ていない。
激高して鉄也の胸倉を掴む体育教師。
熱血ぶりがウザいタイプで、しかも話聞かないからタチが悪いタイプ。
由佳里が叫ぶのを、むしろ小百合が邪魔しようとする。

「待って!、先生!」

かなり大きな女子の声に一瞬で全員静まる。

その声の主は里菜・・・
信じられないぐらい大きな声であった。

彼女は体育教師の前にスマホを突き出す。

「これが、彼らに見えますか?」

それは動画だった。
そこには桜木美咲以下数人の男女が由佳里に暴行を加える様子が克明に映されていた。

何故、里菜がこれを・・・
実は彼女は、手伝いの時点で不審に感じ先回りしていた訳だ。
それは彼女にとって、本当に勇気のいる行動だった。
失敗すれば次に狙われるのが自分であると、特に空気の読むのが上手い彼女は感じていた。
勿論、知らない振りをする手もあるが、彼女も鉄也達と近づいた以上、覚悟しないといけないのもあった訳だ。

「こ、これは…」
動画を見た体育教師が言葉を失う。

「テメエ…!」
美咲が里菜を睨みつける。

美咲の取り巻きの男子生徒の一人が、里菜を突き飛ばし、スマホが里菜の手から落ちる。
美咲はすぐさまスマホを拾うが、その瞬間、体育教師に首根っこを掴まれた。

「話はこれからじっくり聞かせてもらおう。覚悟しておけよ」
美咲以下数人の表情が凍りついた。

そして『嘘でしょ、これ、嘘よね!!』と慌てる担任の小百合。
殴られた鉄也は頬を摩りながらも怒った様子も見せず、里菜の頭をポンポンと軽く叩く。

一瞬はにかんだような表情になった里菜だが、散乱する由佳里の服をまとめると、由佳里に仏頂面で手渡した。

「ありがとう・・・」
「ダサい事しないでよね・・・アンタのせいで私まで危ない橋渡らないといけないんだから・・・」

これが悠馬なら飛び出して、色々面倒になってたかもしれないが里菜だったのが幸いだった。
ある種見殺しに近い形で美咲をハメ返したから、逆に納得できるものがあった。
だからと言って気分いいものではない。
何しろ痛かったから。

「でも痛かったわ・・・助けてくれないなんて酷いよ」
「一発殴られてあげるからそれで許して」

由佳里の口を尖らせた抗議に、里菜は表情変えず顔を突き出す。
一応、責任は感じてるみたいだ。

「じゃあ・・・えーいっ!!」

掛け声と共にパチンと乾いた音。
一瞬目を瞑って覚悟した里菜だが、見事なデコピンに目を丸くした。

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