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そして、少女は復讐する
官能リレー小説 - その他

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そして、少女は復讐する 5

決して彼等がホモだった訳ではない、陰湿な社会的抹殺手段としての所業だ。
流石にこれは立ち直れないだろう、男達が歪んだ男根主義を貫き意気揚々と出社する翌朝、桂馬は訴訟を申し立てた。

示談・交渉は一切認めず、レイプに関わった全員を塀の向こうに送った後、庭先にある桜の下で先祖の短刀で腹を切り、果てた。

父・桂馬は戦い抜いて潔く自ら命を絶ったと解釈すべきか、最後の最後で諦めてしまった敗者なのか。
ただ一つ由佳里に解るる事、桂馬は正直過ぎたのだ。

「ごめんね、私お父さんみたいには、出来ないよ。」

時代劇なら形見の短刀どうこう、という所だが現物は事件の証拠として押収され、とうの昔に溶鉱炉送りだ。
桜の木も父の死に付き添う様にして枯れ落ちてしまったそうだ。

―朝、マッチで蝋燭に火をつけ、線香を立て、父・桂馬の仏壇に手を合わせる由佳里。

登校前、これが由佳里の習慣である。

「…それでも私、頑張るから。お父さんも、見守ってて欲しい」

玄関で靴を履く。
久しぶりの学校である。

「無理しないでね」
後ろから麻由美が声をかける。
「うん…大丈夫だから」
由佳里は気丈に微笑んで、一歩踏み出した。

まずは様子見、のつもりである。
相手がどんな出方をしてこようと、こちらからは一切手は出さない。
由佳里はそう考えていた。

…教室。
由佳里の姿に驚く者こそいたが、それほどの騒ぎは起きない。

「(さて…)」
教室を見渡す由佳里、すぐに違和感に気づいた。
「(私の席がない…)」

「あははは、由佳里、まだ生きてたのね〜」
後ろから聞こえた高笑い。
朝っぱらから由佳里を不愉快にさせたこの声の主こそ、『あいつら』の中心格・桜木美咲。

「(相変わらずだな)」
冷たい目で美咲を睨みつける由佳里。
「なーにーよ、そんな怖い顔しちゃって」
美咲は気にもせず由佳里から離れていく。

…美咲一派の一部を除いて、クラスの面々はある変化に気づいていた。
「(あんな顔の村田さん、初めて見たぞ…)」

2人のやり取りを一番近くで見ていた男子生徒・長坂悠馬。
亡くなった男子4人と近しかった彼は、今やクラス…いや、学年でも数少なくなった童貞男子である。

どことなし育ちがよさそうで常に陰から他人を立てる控えめな少年。
これまでの人生いじめやパシリもなく生きてこられたのが不思議なぐらいのお人好しである。

そんな彼も漸く異変に気が付いた。

以前、桜木美咲の『一発犯らせてやろうか?』という冗談みたいな申し出を断って以来、妙な事が多い。
桜木美咲がそうしたキツ目の冗談を明るく軽快に楽しみ、周囲を沸かせるのは日常茶飯事。
先程の机隠しも母親の看病で沈んでいる由佳里へのショック療法だと担任やクラスメイトに説明していた。

常識的に考えれば悪意以外の何物でもない冗談も、彼女独特の明るい持ち味には何故か説得力がある。

だからこそ、悠馬は一発云々の件を爆発四散しそうな勢いで真っ赤になって断った。
そうだ何かおかしいと気付いたのはその数日後からだ。

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