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牝奴隷たちと御主人ちゃん
官能リレー小説 - その他

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牝奴隷たちと御主人ちゃん 31

「皇女様も、領主様、それにお嬢さんもゆっくりなさってください。食事はこれから用意させますから、客室で休まれるとよろしいでしょう」

収蒐家の初老の男グレゴリーは少年に見せたいものがあると書斎に案内しようとする。
グレゴリーは魔導書の収蒐家。
少年は魔導書を他人に自慢して満足する趣味はない。少年は魔導書の中の知識に実用性があるかどうかしか興味がない。

「メアリーが貴方をお父様と呼ぶのはなぜ?」

書斎で少年がグレゴリーに穏やかな口調で質問する。グレゴリーは少年に怯えながら答えた。

「娘の血を与えられたら、そう呼ぶようになってしまったのだ……理由はわからん」

貴方は娘を殺して人形と契約したのだ、と少年は指摘したのだった。
美貌の少年に心の傷をえぐられて、愕然としながらグレゴリーはうわごとのように話し出す。

「娘のメアリーはわしが人形に執着していると知り、自分の誕生日の夜に人形の前で、ナイフで喉を刺して自殺した。そして、あれが動き出した」


グレゴリーは若い頃は画家であった。
貴族の肖像画を描いて暮らしていた。
ある貴族令嬢の肖像画を依頼されて、その娘の肖像画が完成する頃、娘はすでにグレゴリーの子を孕んでいた。
貴族令嬢を連れグレゴリーは駆け落ちをした。
生まれた娘メアリーと妻を連れて、街はずれの館に一夜の宿を求めてグレゴリーは訪れた。
そこに暮らしていた老人に、自分の肖像画を描いてほしい、それが完成するまで滞在してくれと言われて喜んで引き受けた。
老人はメアリーを抱いた若い母親を狙っていた。
肖像画が描き上がる前に、この館から出て行きたいと言われたがグレゴリーは絵が完成して報酬を受けとるまでは離れないと言った。

メアリーを残して、妻は館から逃げ出した。
老人の慰みものにされ、それを見て見ぬふりをしていたグレゴリーに絶望したからである。
肖像画が完成する頃、老人は病床の身となっていた。死ぬ数日前に老人はグレゴリーに懺悔の告白をして許しを求めた。
老人の遺産や館はグレゴリーに譲渡された。
娘が十八歳を迎えた日、出会った頃の妻にそっくりな人形が届けられた。
誰からの贈り物かは言わないでくれと口止めされたと運んできた商人はグレゴリーに言った。

十八歳の頃の妻そっくりの人形を見ているとグレゴリーは自分が若返った気がした。
そして、妻の人形にそっと口づけをしたのを娘に見られた。 

「貴方はそれでも娘と交わり続けた」
「そうだ、私は妻も娘も愛していたのだ」

娘が十九歳を迎えた夜、父親のグレゴリーに抱かれたあと、人形の前で自殺した。

少年は死霊祭祀書をグレゴリーから取り上げた。

死霊祭祀書によって、鮮明に過去を疑似体験したグレゴリーが、少年の顔を見つめていた。
グレゴリーは死霊祭祀書を読ませてほしいと書斎で少年に言った。
微笑を浮かべた少年から、死霊祭祀書が手渡された途端に逆に記憶を読み取られたのだった。

書斎の扉がノックされて、メアリーが食事の準備ができたことを伝えてきた。
グレゴリーの顔がこわばっていた。

「愛している妻の若い頃の姿をしているのに、声は娘の声なのですね」
「そうだ。そして今でもたまに真夜中に寝室に来ては、お父様、抱いて……と言うのだ」

グレゴリーは、かすれた声で少年に言った。
死霊祭祀書をグレゴリーは手に入れるのをあきらめた。手に取るたびに過去の悲しみを繰り返されたのでは、たまったものではない。

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