勘違いから始まった不思議なカンケイ!? 17
「駿一くん、大丈夫?」
美咲がこちらに向かって歩いてくるではないか。
これはまずい、愛美の自慰の音と声が美咲に聞こえたら…
「ああ、大丈夫だ、もう大丈夫」
俺は急いで彼女の元まで走っていく。
「トイレ長くなかった?」
「ちょっと、な…急に腹の調子がおかしくなって。でも今はもう大丈夫だ」
…
俺の存在を知ったのだろうか、愛美の自慰の声も、音も聞こえなくなった。
これでよかったのか?…まあ、よかったことにしておくか。
その日は途中までだが美咲と一緒に帰れた。いい時間だった。
翌日の帰り。
授業後に進路相談で担任の先生と話をするということで居残りだ。
名簿順で早いのはいいのか悪いのか。
まあ、担任は若い女の先生だから2人きりなのはちょっと嬉しいような。
ふと愛美のほうに視線を移す。
一人の女子生徒と話をしていた。
堀越紗綾…見た目ちょっとギャルっぽい奴だ。
あの2人、そんなに仲良かったかな?
思わず首を傾げる。
でも楽しそうだし、堀越ってああいう見た目だけど結構頭はいいんだよな、確か。
「岩月くん」
「あ、はい」
廊下で話し続ける2人を見ていたら、担任の先生……谷内みなみさんに声をかけられた。
25歳。担当教科は英語。独身。
身長155cmくらいで、女子生徒と混じると溶け込んでしまうような幼顔。
実際に文化祭で制服を着たことがあったけど、すごく似合ってたな。
そんなみなみ先生と個人面談である。
「岩月くん、最近成績伸びてきたね」
「そうですか」
手ごたえはあったけど、実際に結果に表れると嬉しい。
「大学進学、考えてるんだよね」
「はい」
「推薦とかは考えてないの?」
「いや、まったく…俺の実力でとれるかなんて思ってもなかったんで」
みなみ先生は柔らかな微笑みを絶やさず、俺に接する。本当に可愛い先生だ。
「大学でも野球続けるの?」
「今は、全然考えてないっすね…」
「まあ、今のまま頑張れば一般入試でも合格に届くと思うから、それまで維持していってね」
「はい」
みなみ先生が何かをノートにメモして、パタンと閉じる。
面談は終了か。窓の外は夕暮れだ。