続・全てが叶うスマフォ 2
未沙に付き添っている船岡千早もバレー部の主力メンバーである。
「うん、まあ、見てのとおりで。今週末から大会だけど、これじゃ無理だよね」
表情も声にも力のない千早。
話を聞けば、未沙は昨日、帰宅途中に車に撥ねられたのだという。
すぐに救急車で運ばれ、命に関わる事態ではなかったが、左足を骨折する重傷。
…車は未沙を撥ねた後、逃げたんだとか。
「許せないよ…未沙も試合を控えてるのに、こんなことになるなんて…」
由希は怒りを押し殺すように言う。
「まあ、仕方ないよね…でも、千早や桃子がいるし、1年生にも有望な子がたくさんいるから、私がいなくっても十分勝てるよ」
「いや、そんなことないって…」
未沙の言葉に、由希は納得がいかない様子だ。
俺は言葉が出ない…何か出来ることはないのか?久しぶりにスマホをいじった…内容は
「帰宅途中、俺と公園で遭遇する。そしてバレーボールに興じた後、俺と自然な流れでヤる。」
と設定した。前から未沙とはヤってみたかった俺…設定が終わると俺はなぜか日暮れの公園を散歩していた。するとソコヘ誰かが忘れたであろう軽く汚れたバレーボールが落ちていた。
思わず手に取る俺。その時、未沙が俺を見つけて近づいて来た。怪我はしていない…
「あ、一郎くんじゃない」
「よう…何やってたんだ?」
「練習だよ。試合も近いしね」
「帰った後も自主練とは、熱心だな。さすがバレー部のエース」
「えへへ…まあ、勝ちたいしね」
…そうか…昨日の夕方に戻ったんだな。
未沙が事故に遭うのはこの後か…
「ちょうどいいや、一郎くん、相手してくれないかな」
「まあ、俺でいいなら」
俺達は練習を始めた
お互い軽くトスを繋ぐ
どのくらい経っただろうか、多少疲れが溜まって来た
そして、それが油断となった
俺はボールを取り損ない落としてしまう
「おっとっと。やべ、失敗失敗」
転がるボールを追いかけ俺は道路に出てしまった
そこへ運悪く黒塗りのベンツが突っ込んで来た
キッキーィ! ドン!
その瞬間俺の意識が飛んだ
ー目が覚めると…
「い、一郎くん?」
涙でグシャグシャの顔をした未沙が側に立っていた。
病院のベッド。
そうか…未沙の代わりに俺が撥ねられたのか…
まあいいか、未沙が無事なら…
そのとき
「未沙、一郎に何かあったの?」
由希を先頭に、クラスメートの女子十数人が病室のドアを開けて雪崩れ込んできた。