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ノーマンズランド開拓記
官能リレー小説 - その他

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ノーマンズランド開拓記 4

「…毒は無いようだな」
ルークもホッと一安心し、木の実を一つもいでみた。何だか良い香りがする。確かに美味そうだ。ルークは実にかじり付こうとした。その時である!
「ウグウゥゥッ!!?」
最初に木の実を食べた男が突然苦しみ始めた。
「何だ、慌てて食って喉にでも詰まらせたのかぁ〜?」
「ワハハハハ…ッ!!」
周りの皆は初めは笑っていた。だが、その男がバッタリと倒れ、白眼を剥いて泡を吹いて痙攣し始めたのを見て笑いは消えていった。
「ウギギギギギ…ッ!!!?」
「ギギギギギ…ッ!!!」
たちまち木の実を食べた4〜5人が同じ症状を引き起こして倒れた。…そして、ものの1〜2分でピクリとも動かなくなり、冷たくなってしまった。
「な…何て事だ…」
ルークはガックリとその場に両手両膝を着いてくずおれた。彼は人が死ぬのを見たのは初めてだった。それがショッキングだった事もあるが、為す術も無く目の前で仲間達が死んでいくのをただ見ている事しか出来なかった事への絶望感もあった。
「ジャック!おい!起きろよジャック!…チクショウ!何でコイツが死ななきゃならねぇんだ!?」
死んだ一人の親友…あるいは兄弟だろうか、男が死体を抱きかかえて泣き叫んでいる。
「み…みんな、とりあえず海岸に引き返そう…」
ルークはようやく絞り出したような小さく震える声で生き残った者達に告げた。それだけ言うのが精一杯だった。皆も黙ってうなずく。一行は死体を担いで元来た道を引き返そうとした。
ところがその時…

パァン!パァン!パァーン!

数発の銃声が響き渡った。
「な…何だぁ!!?」
「どっちからだ!?」
「西だ!第三隊の向かった方からだ!」
ルークの背筋を冷や汗が流れ落ちる。ジェシカ達の身に何かあったのだろうか?もしや猛獣にでも遭遇したのか?彼は叫んだ。
「みんな!我々はこれより第三隊の救援に向かう!行くぞぉ!!」
「ルーク様!仲間達の死体は!?」
「後で取りに来れば良い!今は生きている仲間が優先だ!」


「くそぉ!!!一体何なんだコイツラは!!?」
ジェシカ率いる第三隊は未知の勢力による襲撃を受けていた。森の中を進んでいた所をいきなり奇襲されたのだ。
それは全く奇妙な出で立ちの者達だった。身体は通常の人間の1.5倍はある巨躯…にも関わらず人間とは思えないような俊敏な動きで銃も狙いを定められない。服装はほぼ裸で褐色の肌にペインティングなのか刺青なのか判らないが模様が施されている。武器は石の槍や弓矢だが木から木へ、茂みから茂みへと自在に動き回り攻撃して来るので防ぎようが無い。

銃は十数年ほど前にエルシオン大陸で発明されたばかりの新兵器だ。火薬によって金属の弾を打ち出す。それまでの武器に比べて驚異的な殺傷力を誇るが、弾の装填に時間が掛かり、弓矢に慣れた者ならその間に十矢は射られた。
更に移民船には大砲も積まれている。弾を打ち出す原理は同じだ。ただの鉄球なので当たっても爆発はしないが、それでもその破壊力は絶大である。

だが、その蛮族達は一瞬怯んだものの相変わらず林の間から石や弓で応戦してくる。
「銃兵方陣を組めっ!」
そこにやってきたのは、ジェシカの義父クラウスと、そのクラウスとその前に合流したルーク。
クラウスの指示にジェシカは我に返り兵を整えた。

銃兵方陣とは、大陸で最も銃の発達したアスファルティア王国の基本陣形と言えるものだ。
陣形中央に銃兵を配し、その銃兵を数列並べる。
銃を撃った兵は最後列に回り弾を込め、次の列が射撃。
これにより銃の最大欠点の装填速度を飛躍的に改善させた。
この戦法は騎兵隊の貧弱なアスファルティア王国が苦肉の策で編み出した戦法であったが、大陸列強の騎兵隊をこの戦法がことごとく破る結果になり、アスファルティア王国は大陸最大国家となったのだ。
その戦法は、この異形の蛮族相手にも有効であった。

銃声と共に悲鳴らしきものが上がる。
隙間なき弾幕に機敏な蛮族も避けられなかった。
慌てふためき逃げていく。
「追いますか?」
「いや、撤退して船に戻ろう」
ルークは逃げる蛮族に目もくれず撤退を決めた。

…けっきょく探検隊は何の成果も得られなかったどころか、毒の果実と蛮族との戦闘で10人近い犠牲者を出すという悲惨な結果に終わった。

この事実を知った移民達は愕然とした。
彼ら彼女らは“アルディア大陸は実り豊かな手付かずの大地が広がる楽園のような所で、開墾した土地は全て自分の物となる”というアスファルティア政府のプロパガンダを信じて、夢を抱いて海を越えて来たのだ。
ところが、いざ辿り着いてみれば、猛毒の植物に獰猛な先住民…聞いていた話と違うではないか。
不安に駆られた移民達はルークの元へと押し掛けた。
皆は口々に不安な気持ちをルークにぶつけた。
「ルーク様!ここは本当に人間の住める土地なのですか!?」
「そ、それは…正直言って僕にも何とも言えない…」
ルーク自身、一番知りたい事だ。
「アルディア大陸に行けば豊かな暮らしが出来ると聞いて来ました!信じて良いんですか!?」
「それは…そうなれるよう、これからみんなで力を合わせて努力していこうじゃないか!」
ルークは一つ一つの質問に誠心誠意をもって答えた。
だが、詰め掛けた人々はそんな言葉を望んでいた訳ではなかった。

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