PiPi's World 投稿小説

ノーマンズランド開拓記
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 1
 3
の最後へ

ノーマンズランド開拓記 3

当然クラウスは反対したが、マリアはもちろんエリスまでもが頑として聞き入れなかった。
娘達がここまで頑なに親に反発するなど初めての事…結局折れたのはクラウスの方だった。

とはいえエリスは良いのだが、マリアの方は早くもその決意が鈍り、後悔の念へと変わり始めていた。
それは3ヶ月に及ぶ船旅の中で不安という形で生じ、いま延々と広がる原生林を目にして確信に変わった。
「やっぱ来なきゃ良かった…アスファルティアに帰りたいよぉ…」


さて、めでたく上陸を果たしたした開拓団一行(約200名)は、さっそく今夜の寝床を確保する事にした。
一行にとっては運の悪い事に、遭難した一隻というのは当面の食糧や建築資材、ありとあらゆる生活必需品、それに嗜好品を積んだ物資輸送船であった。
「…つまり僕らは何も無い所から…本当に全くゼロの状態から何もかもを始めなければならないという訳だ…」
深刻な表情でつぶやくルークにクラウスは笑って言った。
「ハッハッハッ…若、それは違いますよ。0ではありません。1です」
「ほう、それはどういう意味だい?」
するとクラウスは自分の胸に親指を突き立てて言った。
「人間が居るじゃないですか。ですから1です。人間この体一つさえあれば何だって出来ます。船には残り僅かだが食糧の蓄えがある。せいぜい1〜2週間って所だが何とか食いつないで、その間に食糧を確保しましょう。な〜に、これだけの森だ。探せば食べられる獣や植物なんていくらでもありますよ」
「そうか…確かにその通りだね、クラウス。よぉ〜し!さっそく捜索隊をいくつか編成して辺りを調べてみよう!何か見付かるかも知れない」

つとめて明るくそう言うルークだが、かなり不安もあった。
その1つが開拓団の男女編成である。
200人の開拓団の中で男は50人程度しかいない。
貴重な労働力であり、戦闘力でもある男がアスファルティア王国では地位が高く、そもそも始めから少ない編成だったのだが、1隻遭難した事で更に少なくなっていた。
故に必然的に女達の働きが開拓の成否に関わってくる訳だ。
その女達のリーダー格がクラウスの妻ミシェルとルークの幼馴染みの女騎士ジェシカ。
ミシェルはルークの祖父の私生児(認知されてない子供)で血筋的には叔母となる人で、彼にとってもクラウス同様信頼できる相手だ。
ジェシカに関しては優秀かつ忠実な騎士であり、剣術の腕前は女とは思えぬ実力者だ。
ジェシカは20歳。
日によく焼けた健康的な肌が特徴の長身美女である。
母親はミシェルであるが、彼女は前夫の子であった。
実はミシェルはクラウスの後妻であり再婚同士。
エリスやマリアの継母となる。

私生児と言う微妙な立場であったが為に隣国に嫁ぐルークの母の従者となり、隣国で結婚したが戦争で夫を失い、ルークの母の再婚と同時にクラウスと再婚した経緯がある。
夫婦仲は良く、エリスやマリアとも関係は良好で、夫婦にとって待望の男子アレクも設けている。
クラウスは再婚と共にジェシカを引き取りエリスやマリア同様に子供として養育してきたが、彼女は女らしく生きる事より騎士として生きる道を選び、ルークの部下となっている訳である。
生真面目な性格でルークの腹心とも言える部下であるが、彼は部下と言うより姉のように信頼していた。

そして開拓団一行は若い男達を中心に、10人程度から成る探検隊を3つ組織し、付近一帯の探索に当たる事にした。
「第一隊は僕が率いる。第二隊はクラウス、第三隊はジェシカが隊長だ。森の中にはどんな猛獣が出るか解らない。皆、充分に注意してくれ」
「承知しました!若」
「了解!」

一行は鬱蒼と茂る森の中に足を踏み入れた。
「おぉ!隊長、美味そうな木の実を発見しました」
一人の男が見付けた木の実をもいで食べた。確かに見た目は真っ赤な色で美味そうだが…。ルークは慌てて叫んだ。
「バカ!いきなり口にするヤツがあるか!毒が入ってたらどうするんだ!?」
「も〜、ルーク様ったら心配性なんだから…うん!こいつぁ美味い!みずみずしくて甘味と酸味の入り混じった何とも言えない絶妙な味わいだ!おい!みんなも食ってみろよ!」
「どれどれ…」
「おぉ!本当だ!こんな美味い果物は食った事が無いぞ!」
つられて他にも2〜3人が木の実を取って食べた。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す