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ノーマンズランド開拓記
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ノーマンズランド開拓記 28


斥候に出た双子は森の中へと分け入って行った。
道すがら、モットはベイリーに訊いた。
「なぁ、ベイリー」
「何だい?モット」
「ずっと気になってたんだが、お前の鉄砲…何だそれ?変な形してるなぁ…」
「何だ…お前、知らないのか…?」

ベイリーの銃は、銃身が太く銃口の広がった…いわゆる“ラッパ銃”だった。
普通の銃は狙い定めた方向へ弾を飛ばすための構造をしているが、ラッパ銃は弾の代わりに砂利(じゃり)だの陶片だの釘だのを詰めて、敵の方に向けてバラまく…つまり散弾銃である。
しかも“銃身に収まる物なら何でも弾に出来る”という、ある意味すごい銃だ。

「何だそりゃ…大ざっぱな鉄砲だなぁ〜」
ベイリーから説明を聞いたモットは言った。
ベイリーも笑って応える。
「いやぁ〜、俺、射撃の腕が無えからさぁ…狙い定めて撃つより、こっちの方が合ってるんだ」
「……」
「どうしたんだい?急に黙るなよ…」
「あ…あれ見てみろ…!」
モットは小刻みに震えながら空の一方を指差した。
その先には一条の煙が立ち上っている…食べ物を煮炊きする時の煙だ。
「…きっと先住民の集落だよ!行ってみよう!」
「お…俺達だけで行くのかい!?いったん戻ってみんなに知らせた方が良いんじゃあ…!?」
「戻ってる間に見失ったらどうするんだ!?知らせるのは場所を特定してからだ!」
「な…なるほど確かに…!」
二人は煙の方へと急いだ…。

「あった…!!」
「み…見つけた…ついに見つけたぞ…!!」
しかして、そこに集落は存在していた。
モットとベイリーは茂みに身を隠しながら村の様子を伺う。
土壁と草葺き屋根の粗末な家屋が5〜6戸ほど建ち並んだ小さな村で、村全体が木製の柵に囲まれていた。
物見用と思しき櫓(やぐら)も備えている。
「砦みたいだなぁ…」
「俺達の所と似てるね…」
二人がそんな事を声を潜めながら話していた…その時だった。
「ウオオオオゥッ!!!!」
「ウオオォォー―――ッ!!!!」
…突然、槍や弓矢を手にした十名前後の先住民が、叫びながら二人の目の前に飛び出して来た。
どうやら気付かない内に背後から忍び寄っていたらしい。
「「うわあああぁぁぁぁぁぁ〜っ!!!?」」
二人は心底から恐怖し、叫んだ。
「◎仝×♂●※∫§∋△!!?」
「¶=♯◇※■♀*%×○!!!」
先住民達は二人に向かって何やら言葉を叫んでいる…が、二人に解る訳がない。
「こ…殺さないでぇ!!」
「俺達はあんた達の敵じゃないよぉ!!」
同じように、こちらの言葉も向こうには通じない。
言葉が通じなくてもボディランゲージや表情で…そんな余裕は無い。
そうこうしている内にベイリーが先住民達に捕らわれた。
「えぇぇ〜っ!!?な…何で俺だけぇ…!?」
「ベイリー!!」
「モット!!助けてぇ〜!!!」
先住民はモットに向かって叫んだ。
「■±¢@吹磨栫フ‡∀£★!!!!」
「ひ…ひいぃ…っ!!?」
その様子にモットは何か凄みのような物を感じ、慌てて逃げ出した。
「お…おい!モットぉ!?弟を見捨てるのかよぉ〜!!?」
その背に向かってベイリーが叫ぶ。
「す…済まんベイリー!!後で必ずみんなを連れて助けに来るから!!それまで無事でいろよぉ〜!!」
「そ…そんなぁ…っ!!?」
もちろん、皆が来てくれるまで、先住民達が彼を生かしておいてくれる保証など、どこにも無い…。

本隊の所に逃げ戻ったモットは、事の顛末を報告した。
もちろん皆の驚いた事といったら無い。
モットはルークとジェシカに泣きついて言った。
「早く助けに行かないとベイリーが殺されちゃいますうぅ〜っ!!」
「いや、その可能性は低いだろう…」
こう言ったのはハーヴィン教授だった。
ルークは尋ねる。
「何故そう言えるんだい、教授?」
「もし先住民達がモットとベイリーを殺す気なら、わざわざ二人の前に姿を見せたり、片方を人質に取って片方を逃がしたりしませんよ。…これは予想ですが、彼らは我々との対話を望んでいる可能性があります」
ルークはハッとして、ジェシカの方を見て言った。
「ひょっとして…エリスが関わってるのかも…!!」
「そ…そうかも知れません!!」
「いや…」
ハーヴィンは残念そうに首を横に振って言う。
「…これも推測ですが、モットとベイリーの見つけた集落には、エリスはいないと思います…」
「な…何故そんな事が言える!?」
ジェシカが食ってかかった。
ハーヴィンは答える。
「…ハロハとウザラの話によると、彼女達の一族は狩猟採集生活で、常に獣の群れを追って移動しているそうです。そういう生活形態ならば、家は移動しやすいよう、テントのような簡素な物であるはず…ですが双子が見つけた集落は、柵や櫓を備えた砦の形式がとられていました。家も土壁と草葺きのシッカリした構造だったとか…これは定住生活者…すなわち、私達と同じ農耕牧畜民の集落です」
「そ…そうか……」
ジェシカはガックリと肩を落とした。
一方、ルークはこの状況に僅かながら希望を見出す。
「…例えエリスはいなくても、彼らとの交流を通じてエリスに繋がる情報は得られるかも知れない。それにアルディア大陸の先住民の社会や文化についても解るだろう…行ってみよう!」

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