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ノーマンズランド開拓記
官能リレー小説 - その他

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ノーマンズランド開拓記 27

「はあ?何とは…?」
素知らぬ顔で聞き返すロレンツ。
「とぼけるな!ルーク様は君達に船上で待機しているよう命じられただろう!」
「あぁ…そう言えばそんな事も言われましたかねぇ…だが我々は陸軍軍人です。いかにお偉い貴族様のお坊ちゃまとはいえ、軍籍も持たない者の命令に従う義務はありませんなぁ…」
「き、貴様…ふざけるなぁっ!!ルーク様は国王陛下より直々にこの開拓団の団長を拝命されたお方だぞ!?それを…!!」
いきり立つ船長の前に手を差し出し、制するようにロレンツは言った。
「我々は王国陸軍の軍人です。開拓団とも海軍とも別な指揮系統に属しております。誰の指図も受けません」
「な、何だとぉ…っ!?」
海軍士官や水夫達が殺気立つ。
ロレンツの部下の兵達も銃の撃鉄を起こす。
まさに一触即発だ。
このままでは船上で陸軍と海軍の殺し合いになってしまう…そう思った船長は両者の間に割って入り、ロレンツに尋ねた。
「一体君達の目的は何なんだ!?」
「あなた方海軍には関係無いでしょう。邪魔しないでもらいましょうか」
船長は言った。
「例え所属が違っていても軍人ならば上位階級者に従うのが慣習だろう。私はキャプテン(海軍大佐)だ。ロレンツ、命令だ。ルーク様が戻られるまで船上にて待機せよ」
「奇遇ですな、キャプテン殿。私もキャプテン(陸軍大尉)です。では行って参ります」
「へ…屁理屈を…っ!!」
…とはいえ上位階級者に従うというのは、あくまで“慣習”であり、法的拘束力は無かった。
「…解った。その代わり私の部下を数名同行させる。構わないな?」
「三名までなら許しましょう」
「うむ、では…」
船長は自らの部下達の方を振り返ると、まだ若い海軍将校の青年の肩にポンと手を置いた。
「レーニック海尉、悪いが彼らに付いてくれないか」
「は、はいっ」
レーニックと呼ばれた青年将校は指名された事に少し驚きつつも敬礼する。
船長は声を潜めて彼に言った。
「良いか、もしロレンツ達が怪しい動きを見せたらすぐに報告しろ…」
「了解しました!」
「頼んだぞ」
それから船長は水夫達の中から信頼できて腕も立つ者を二名選んで同行させた。

一方その頃、ルーク率いる調査隊は川に沿って進んでいた。
思った以上に起伏が激しく険しい道程だ。
小一時間ほど歩いた頃、皆に疲れの色が見え始めた。
特にアレクの体力の消耗が激しいようで…
「…はぁ…はぁ…」
「大丈夫かい?アレク…」
ルークは心配そうに尋ねる。
「はぁ…はぁ…だ、大丈夫です若様!」
「とてもそうは見えないよ…ジェシカ、この辺りで休憩にしないかい?」
ルークは副隊長であるジェシカに提案する。
アレクにかこつけたが実は彼も疲れていたのだ。
だが、ジェシカは平然とした顔で言い放った。
「必要ありません。…アレク!お前はこれぐらいでへこたれる男か!?そんな事では立派な騎士になどなれんぞ!」
「…はぁ…はぁ……はい!姉上!まだ頑張れます!」
「うむ!それでこそノイエンバーグ家の男だ!」
「ちょ…ちょっと待ってくれ!君達は良くても他の者達には休息が必要だ!」
「…ひょっとしてルーク様、休みたいのですか?」
「…い、いやぁ…」
ルークはその質問には答えず、後ろの方を指差す。
「ぜぇ…ぜぇ…わ、私は大丈夫…良いから気にせず先に行ってくれぇ…」
その先にいたのは息も絶え絶えで今にも倒れそうなハーヴィン教授であった。
「このままでは教授が死んでしまう。僕も…まぁ、ちょっと疲れたかなぁ…とは思うし…とにかくここらで一旦休憩しよう!」
「うぅ〜む…仕方ありませんね。…全員!ここで小休止だぁ!」
ジェシカの号令に皆ホッと一息つく。
銃を杖代わりに地面に腰を下ろす者、近くの木に寄りかかる者、川の水を飲む者、持ってきた干し肉を取り出してかじり付く者…。
「はぁー…はぁー…た…助かったぁ…正直、助かったぁ…」
一番体力の消耗の激しかったハーヴィン教授など、服に土が付くのも気にせず地面の上に仰向けに横たわってしまう。
ちなみに彼女もジェシカ同様、男と同じような服装をしている。
しかも色も地道だ。
お洒落に関しては全く無頓着なのだ。
とはいえ彼女の容姿は女性としてはかなりレベルが高い。
もしドレスアップさせて王都の社交場にでも連れて行ったら(美醜に関しては目の肥えた)貴族の男達も放っておかないだろう。
もっとも当の本人に全くその気が無いのだが…。
「…お飲みになりますか?教授(せんせい)」
ふと彼女の目の前に水の入った木製のコップが差し出される。
見ると、イワノフだった。
川の水を汲んで来てくれたのだ。
彼は外見は巨漢でゴツいが、意外と細やかな気配りの出来る男である。
「おぉ…水!助かったよ!喉がカラカラだったんだぁ!…ゴク…ゴク…!」
ハーヴィンは一気に飲み干した。
「…ゴクン…プハァ〜ッ…ありがとうイワノフ、生き返ったよ…」
「ハハハ…まだありますから、飲みたければ遠慮無くどうぞ」
イワノフは笑って水筒を差し出す。
一方、ジェシカは二人の男に命じていた。
「モット、ベイリー、お前達まだ元気そうだな。悪いがちょっとこの先の様子を見て来てくれないか?」
「「了解しました!」」
モットとベイリーは双子の兄弟で、二人はいつも一緒だった。
だが見た目は、兄のモットが痩せていて背高ノッポなのに対し、弟のベイリーはチビで太っちょ…まさに絵に描いたような凸凹コンビであった。

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