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ノーマンズランド開拓記
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ノーマンズランド開拓記 25


会議の席でクラウスに一喝されたベイウッドは、砦内に作られた酒場で呑んでいた…。
「チクショウ!!面白くねえ!!何であんな優柔不断なガキが開拓団長なんだよ!?アイツが団長でいる限り開拓事業がサッパリ進まねえぜ!!」

…砦の中には様々な建物が建っている。
司令部の建物を中心に、開拓民達の住居が並び、食糧・生活必需品の倉庫、武器・弾薬の倉庫…etc.
その中の一つに変わった建物があった…酒場である。
司令部に食堂があるが、そちらとは少し趣が違う。
酒蔵を兼ねたここは大人達が…というか男達が息抜きをするための場だった。
労働を終えて家に帰る前に一杯やりたいと思う気持ちは、いつの時代、どこの国でも同じらしい…。

「ベイウッドさん…ちょっと飲み過ぎじゃないっすか?」
「そうっすよ。そのぐらいにしといた方が…」
悪酔いしつつあるベイウッドを弟分達が止めようとするが、彼は聞かない。
「うるせぇ〜!!野蛮人共なんざ皆殺しにしちまえばいいんだぁ!!俺が開拓団長だったら迷わずそうしてらぁ!!」
彼はふと思い付いたように言った。
「…そうだ!!俺が団長になりゃあ良いんだ!!」
「「はあ…?」」
弟分達は首を傾げる。
「あんだぁ?血の巡りの悪いヤロウ共だなぁ…つまりだな、あのルークのガキを引きずり降ろして俺がその後釜に収まるんだよ!!」
「えぇぇっ!?」
「そ…そりゃあ、クーデターってヤツですか!?」
「そうだ!!俺がこの開拓団の団長になる!!」
ベイウッドは高らかに宣言した。
その時…
「この馬鹿!」
 ガンッ
「痛ぇっ!!?な…何すんだよぉ、ロッサーナぁ…ほんの冗談じゃねえかよぉ…」
「やかましい!あんたが言うと冗談に聞こえないんだよ。てゆうか冗談でも言って良い冗談と悪い冗談があるだろう!」
得意満面のベイウッドの後頭部を女がお盆(の縁)でひっぱたいた。
胸元も露わなセクシーな服装に身を包んだ女…彼女の名はロッサーナ、この酒場の女主人である。
威勢の良さと妖艶さを併せ持った美女で、ちなみにベイウッドとは幼馴染の間柄だったりする。

「よぉ…」
そこへ、新たな人物が酒場に姿を現した。
クラウスだ。
「「「ちゅ…中隊長殿!!」」」
ベイウッドの弟分達は慌てて直立不動の姿勢を取る。
「おいおい…俺はもう既に軍籍を離れた身だ。中隊長はよしてくれ…」
クラウスは苦笑しながら言った。
実は彼、こう見えて若い衆からは慕われているのだ。

アスファルティア王国の版図拡大に伴い、ライオネス伯爵の軍(ライオネス連隊)も王国軍の一翼として様々な戦いに参加して来た。
言うなれば彼らは幾度もの危機を共に乗り越えて来た“戦友”なのである。
クラウスは士官…中隊を率いる大尉だったが、下士官・兵の気持ちを良く理解し、普段は穏やかな気性ながら戦場にあっては勇猛、常に先頭に立って仲間達を鼓舞し、兵士達からは“クラウスおやじ”と呼ばれ信頼されていた。
逆に言うとルークがベイウッドら血気盛んな連中からイマイチ認められないのはそこが原因…まだ本当の意味での戦場を経験した事が無いからである。
“男は戦場を知って一人前”というような風潮が何となくあるのだ。


クラウスの姿を目にした途端、ロッサーナは少し頬を赤らめて色っぽく微笑みながら言う。
「あらぁ…クラウス様がここにいらっしゃるなんて珍しいじゃないですかぁ…♪」
「ああ、今日は久し振りにちょっと飲みたい気分になってしまってなぁ…」
「そうなんですかぁ♪じゃあ今日の分は私が奢りますから…好きなだけ飲んでくださいな」
…と言いながら胸元に手を掛け、さり気なく更に下げる。
ベイウッドは毒づいた。
「ケッ…中隊長には色目使いやがって…俺にもそのぐらいしやがれってんだこの雌豚が…」
「何だってぇ!!?…クラウス様、こいつったらさっきクーデター企んでたんですよ」
「わっ!!ばか!言うなって!」
「なにぃ…?」
クラウスはギロリとベイウッドを見た。
「い…いやぁ!酒の席での冗談ですよ!ほんと!ぜんぜん本気とかじゃなかったですから…!」
慌てて否定するベイウッドをロッサーナは茶化す。
「な〜に慌ててんのさ、ルーク様を引きずり降ろして自分が開拓団長になる〜って得意気に語ってた男が…」
「テメェは少し黙ってろ!!」
「ベイウッド…お前ちょっとこっち来い…」
クラウスはベイウッドの肩を掴んでカウンター席の方へ引っ張った。
「参ったなぁ…ほんとに冗談だったんですって…」
「良いから座れ、お前…」
「へ…へい…」
渋々クラウスの隣に腰を下ろすベイウッド。
「まあ飲め…」
クラウスは憮然とした様子でグラスに酒を注ぎ、ベイウッドに差し出した。
「うっす…」
受け取るベイウッド。
クラウスが先にグラスに口を付け、それを見たベイウッドも酒を口にした。
こう見えて律儀な男なのだ。
クラウスは口を開いた。
「ルーク様が信用できんか…」
「……正直言わせてもらって…出来ません…」
ベイウッドは一瞬ためらったが、正直に自分の考えを言った。
「そうか…」
「すいません…中隊長があの方に目を掛けておいでなのは承知の上ですが…それでも俺は、どうにも……」
「いや、謝る事は無い……そうかぁ…まあ仕方ないよなぁ…俺もいつも側で見てて思うけど、ルーク様って何ていうか、頼りないんだよなぁ…」

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