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ノーマンズランド開拓記
官能リレー小説 - その他

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ノーマンズランド開拓記 2

二隻の移民船が湾内に停泊し、乗り込んでいた人々が順次ボートで浜に上陸して行った。
アスファルティア王国を発った時点では三隻だったのだが、残る一隻は途中で遭遇した大嵐の際にはぐれ、それきり行方が判らない。
無事にアルディア大陸に辿り着いたのか、沈没したのか、それとも未だに洋上を漂流しているのか、それすら定かではない。
アルディア大陸の開発が進まなかった最大の理由は、道程が半端無く危険であるという点に尽きる。


この大陸とエルシオン大陸の間にある大西海原は大きな島も群島も全く無い……つまり高度な航海術を要しても天候を読み間違えば死ぬのだ。更に船乗りも陸地を見ないと精神的に不安になり、船団内での対立で船が沈んだ例もある。大変な勇気とタフな精神が求められる。探検隊が出ても帰ってこれたのは数例、後は全滅したり航路の途中で引き返したりした……。

アスファルティア王国は中堅国家だが海に関しては周辺国から一目置かれており海軍大国の異名を持つ……と言うのも海軍将校は多くが元海賊でありアスファルティア王国は彼らに私掠令状を与える事で海軍を強化した。それを始めた王が豪快な海の男で、ゆえに海軍将校は決して国を裏切る事は無い。しかし外交や戦争は荒っぽくなり、その弊害の象徴はルークだ。

「神よ、感謝します……そして我が開拓団に御加護を」

ルークは岸に付くなり膝を付いて神に感謝する。だが感慨に浸っている暇は無い。まずは拠点作りだ。ちなみに人の住まない土地と言われているが本当に無人かは定かではない……と言うのも昔の記録には人らしき物を見たと言う記述もあるからだ。


「あぁ〜、それにしても3ヶ月ぶりの地面だぁ…」
祈りを終えたルークは久しぶりに踏み締めた大地の感触に気持ち良さそうに伸びをする。
そんな彼に白髪混じりの口髭を蓄えた初老の男が近付いて来て言った。
「若、この湾を我々の当面の拠点にしてはいかがでしょう。湾内なら嵐の時も大波が来ない。船が流されたり転覆しないで済みます」
「うん、そうだね。ところで、その“若”っていうの、いい加減に止めてくれないか?クラウス」
「おっと…いかんいかん。いやぁ、申し訳ありません。長年の癖がなかなか抜けなくて…以後、気を付けます。若」
「ハハハ…まぁ、おいおい慣れてくれれば良いよ」
彼、クラウスはルークの父、ライオネス伯爵に仕えていた騎士の一人である。
剣の腕は確かで、ルークとは剣術指南役とその弟子として幼い頃から見知った気の置けない仲だ。

そのすぐ側では二人の少女が眼前に広がる原生林を前に話し合っていた。
「ハァ…来る前に何も無い所だとは聞いてたけど、ここまで何も無いなんて…あぁ〜ん!最悪よぉ!こんな所で一生暮らさなきゃいけない訳ぇ!?ここ文明の形跡とか人類の息吹きが全く感じられないじゃない!」
「ウフフ…だからノーマンズランドと言うんですのよ、マリア。まあ、そうカッカしないで、少しは落ち着きなさいな」
「…そう言うエリスお姉様は何だか嬉しそうに見えるけど…?」
「だって私、夢だったんですもの♪都会の喧騒から離れて、こんな大自然の中で美味しいケーキを焼きながら毎日のんびり暮らすのが…」

マリアと呼ばれた少女はちょうどルークと同年代くらい、エリスと呼ばれた少女はその2〜3年上に見える。
会話から分かるように彼女たち二人は姉妹…クラウスの娘達である。
姉エリスは18歳、妹マリアは16歳。
姉妹共に豊かな亜麻色の髪とエメラルドのような緑色の瞳を持つ美女&美少女である。
ただ、容姿や性格はやや異なり、姉エリスはロングヘアでお菓子作りが趣味といういかにもお嬢様然としたおっとりタイプ、妹マリアはセミロングで何事に関してもハキハキとした物言いで嫌な事は嫌と言う明朗快活タイプ。
ライオネス伯爵領内でも一位二位を争うこの美人姉妹がノーマンズランド開拓団に加わる事が判明した際には領内の多くの男達が絶望したものだ。
ちなみに二人も父親のクラウス同様、ルークとは子供の頃からの付き合いで気心の知れた仲である。

父クラウスがノーマンズランド開拓の総責任者となったルークのお供としてアルディア大陸に渡る事を決意した時、この二人の娘は本国の親類の元に残して行くつもりだった。
母親はもう何年も前に病没して居ない。
娘達も年頃、容姿は前述の通り申し分ない…本国に居れば、いずれ良い縁談もあるだろうと考えていた。
しかし彼女達は父に付いてアルディア大陸に渡ると言い出した。

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