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バトル・ザ・ヴァンパイア
官能リレー小説 - その他

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バトル・ザ・ヴァンパイア 5

「お呼びですか? お嬢様」

少女の指鳴らしから数秒後、室内に第三者の声が響き渡る。十代特有の鈴を思わす声の中に、穏やかで大人しそうな感じを抱かせる「声」。
すると、謎の熱に苛まれもがき苦しんでいる彼の後ろに優雅に佇む一人のメイド。
腰まである流れる様な金の長髪を先端で結ばれている赤いリボン。
スッキリとした柔和な顔にはシミは存在せず、ニコリと優しい笑みを浮かべている。

“物音一つさせず突然現れた”メイドの存在に苦しんでいた智の体に戦慄が走った。
体はマグマの様な熱で支配されている。しかし、言い表せない寒気もまた彼の体を支配していた。
(なッ・・・何なんだよ一体ッ?!!)
顔を恐怖で塗り固められ、冷たい汗が彼の頬を幾度と無く流れ落ちる。
見たことも、感じたことも、体験したこともない事態。
非常識と言える事が連続に起こり、彼の脳内は強制的に意識のブレイカーを落とした。


「んんッ・・・・ん、あぁ・・・」
頬に撫で付ける風の冷たさに智は意識を取り戻す。寝起き全開の顔は、少し間抜け面だ。
体を優しく包み込むフカフカとした感触。その感触が、寝起きの彼に再びの睡眠を促そうとしていた。
「おッ。 ようやく起きたか。 なかなか起きないから心配したぞ?」
そんな中聞こえて来た少女の声。凛とした口調の中に気品と上品の両方を兼ね備え、聞く者全てを惹きつけて止まない魅力の声音。
「ッ?!!」
その声を聞いた瞬間、智はバネが付いた様に飛び起きる。眠気など既に覚めていた。
「おッ、お前ッ・・・!」
「ふふふ・・・そう、怖い顔をするな。 カッコイイ顔が台無しだぞ?」
イスに腰掛け、優雅にワインを飲んでいる少女。智は目の前の少女に、最大限の警戒を示す。
少女はそんな彼にビクともせず、クピクピとワインを煽っている。

蝋燭の灯りに照らし出された智は、艶やかな若い上半身を覇け出している。

あれほどに、紅に染まっていた空は、既に黒い闇に包まれていた。
それを待っていたかの如く夜空に飛び交う…黒翼…
キィィキィと甲高い音波を発する蝙蝠たちの群れ…
それを目で追うメイドは、掠れた声でぼそりと言った…
「この御方が、お嬢様の眷属となる者……」
少女の空いたグラスに赤液を注ぎながらも、物珍しいものでも見るかのように、アクアブルーの鮮やかな瞳を見開いた。

「そう…眷属なる者よ…私もとうとう巡り合えた…」
注がれたワインを一口。
少女は、喜びに満ち溢れた表情で窓の外で光り輝いている満月を見つめる。
「やっとでございますね…此で先日のような屈辱を受けることも無くなりますでしょう…」
メイドはワインボトルを震わせながら、声を詰まらせた。

「なぁ!? なんなんだお前ら?!!」
智はあまりにも合点がいかず、2人に迫り寄ろうとベッドより立上がる。
だが、自分が全裸であると気付き、慌ててシーツでその下半身を覆った。

「私か? 私はアリシュラ・イース・シュトルツェル。 「大貴族」シュトルツェル家の令嬢であり・・・ヴァンパイアさ・・・」
イスに腰掛けたまま、彼女、アリシュラ・イース・シュトルツェルは威風堂々と名と正体を明かす。
「初めまして、智様。 私はエルフと淫魔のハーフ、アリアゾルグ=ボトルハイフ。アリシュラ様お付きのメイド・・・以後、お見知りおきを」
そして、ソレに便乗する形でアリシュラの横に立っていたメイド、アリアゾルグ=ボトルハイフも優しい大人びた口調で名と正体を明かした。

 好奇心で足を踏み入れた館
            
         そこで出会った少女とメイド

      呆然とする少年を置いて、舞台は静かに始まりを迎える

   血で血を洗い、欲望で欲望を踏み潰す狂った宴

       名を「狂宴」

 平和で静かだったはずの街が
         
          
           その日を境に、「戦場」へと姿を変えた・・・


「へ? ヴぁ、ヴァンパイ・・・え?」
呆然とし、片言しか喋れない智。シーツから上半身があらわになるが、今の彼にはどうする事も出来ない。
ベットの上で混乱する智を少女はワインのツマミにするかのごとく、クスクスと笑いながらワインで喉を潤す。
「ふふふ・・・混乱している所すまないが、此方の都合に付き合って貰おうか・・・」
グラスを空にすると優雅にイスから立ち上がるアリシュラ。そして、今だ混乱の最高潮にいる彼へとゆっくりとした足取りで近づいていく。

――スルッ・・・シュルル・・・・。
「ッ!!!??」
まるで見せ付けるように着ていたドレスを脱いでいくアリシュラ。そんな彼女の様子に、智は声にならない叫びを上げた。
どんどんと脱ぎ捨てられるドレス。ソコから姿を見せるは、白磁の肌やムッチリとした肉付きの太ももを包み込む黒のニーソックス。
ブラは付けていないのか、爆乳と言ってもいい胸がこれ見よがしに突き出している。

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