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バトル・ザ・ヴァンパイア
官能リレー小説 - その他

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バトル・ザ・ヴァンパイア 10


――カチャ、カチャ・・・。

広く清潔な食堂にナイフやフォーク、平皿が作り出す金属音が小さく響き消えていく。
自分の目の前、距離にして約5メートル先にいる人物は何を思う事無く食事を進めている。
着ている服は鮮やかな紅のドレス。首から胸元までが露出しており、特に胸元の光景は圧倒的だ。
体にフィットするように作られているドレスなのか、キツイ布によって無理やりに収まっている爆乳は、その形をハッキリと浮かび上がらせ、深い谷間を形成していた。
男であるならマズ間違いなくその谷間に目がいってしまうだろう。

しかし、智はそんな男殺しと言ってもいい箇所には目もくれずじっと硬い表情で少女の顔を見つめ続けていた。
「どうした? そんな怖い顔をして。 お前も早く座って食べたらどうだ。 我がメイド、アリアの食事は一級品だぞ?」
ピクリとも動かない智に少女はクスリと微笑み、促す。確かに彼の目の前には美味しそうな朝食が、「早く。早く」と訴えかけている。
「・・・」
目覚めてから今まで空腹を感じなかった智。此処に来てようやくそれを感じた彼は、渋々としながらされどその目線は少女に固定したままゆっくりと席に座る。

「・・・」
「どうだ? 美味いだろう」
無言でスクランブルエッグを一口ほうばる智に少女は自慢げに言う。口に入れた瞬間、トロっと蕩けるタマゴにコショウのスパイスが丁度良い具合で効いていて、確かに美味い。
普通であれば喜び、口元がニヤけてしまうのだが、清二の表情には何の変化も見られない。
「・・・おい。 いい加減何か喋ったらどうだ。 先ほどからその仏頂面をされては美味い朝食が不味くなる」
「・・・・るな」
「・・・何?」
「ふざけるなって言ってんだよっ!!」
ダンッ、と強くテーブルを叩き大声を上げる智。叩いた拍子に水の入ったグラスが倒れ、白いシートを濡らしてしまう。
「何なんだよお前達はッ! いきなり現れていきなりキスして! 訳の分からない事をべらべら喋ったと思えば森だったのが食堂に変わってるッ!! 本当にお前達は何なんだ!!」
鬼の形相で目の前の少女とメイドを睨み溜まりに溜まっていたフラストレーションを一気に爆発させた。
これが彼を良く知る者たちであったら驚き、呆気にとられていただろう。


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