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バトル・ザ・ヴァンパイア
官能リレー小説 - その他

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バトル・ザ・ヴァンパイア 4

ベットの上で、ゆっくりとした動作で起き上がる少女。
ただそれだけの動作の筈が、見た者全てを魅了する程の怪しげで妖しい色気をかもし出している。
目の前の少女の動きに目を奪われ、動くことを忘れたかのようにピクリともしない智。
そして、ゆっくりと開かれた両の瞳。其処から彼を見つめるルビーよりも鮮やかな紅の瞳に、智を呼吸をも忘れて魅入ってしまう。

「ふふ・・・」
「ッ! ぁ!、はあッ・・・ぶふぅ! げほッ、げほッ・・・!」
一体どれだけの時間見詰め合っていただろうか。優雅にベットから体を起こした少女が微笑んだ瞬間、彼は文字通り息を吹き返した。
しかし長い間呼吸を忘れていたのか、彼は激しく咳き込んでしまう。

その間、少女はそんな彼を見てクスクスと可愛らしく笑っていた。


身構えた戦闘態勢は既に溶けていた。
前屈みで無防備に咳き込む少年からは、悪意に満ちた邪念は全く感じられなかった。

口からの飛沫が、少女の手の甲に付着する。
(よかった・・・)
少女はそれにより、少年が無垢であることを感じ取ることができた。

眷属となる人間は、無垢であることは絶対的な条件でもあった。
異性との交わりを持たない汚れ無き躰…
例えそれが唇だけの接触であったとしても、唾液などの異性の体液が少しでも体内に入った者は、決して眷属には成り得ない免疫力が養われるのだ。
増しては、汚れた人間の体液を自身の躰に注入されると、自らの肉体を腐蝕させかねない危険を伴うのだ…

そう言った面においても、少女は智に救われたと言ってよかった。
俊敏な運動神経、明瞭な頭脳、美しさを称えるビジュアル、そして何よりも無垢な躰…
中武智という少年は、眷属としての絶対条件を、全て兼ね備えていた。
「げほッ! げほげほッ・・・あぁ〜・・・ごほッ! はぁ・・・はぁ・・・」
「ふふ・・・何だ。 誰かと思えば人間か・・・」
咳き込む智に向かって、少女は上品な笑みを浮かべながら呟く。
そして、流れるような動きでベットから抜け出すとゆっくりとした足取りで彼に近づいていった。
「はぁ、はぁ・・・「おい。 お前」へ?」
声を掛けられ、顔だけを彼女へと向ける智。
「私はお前が“気に入った”・・・だから、“今からお前の人生は私のものだ”・・・」
咳き込みが漸く落ち着いてホッとしていた時、彼と同じ姿勢になりながら、彼女は歳相応の可愛らしい声で謡うように言う。

そして・・・。

「ん・・・」
「んんッ?!!」
その綺麗で美しい両手を彼の頬に添えながら、少女は彼にキスをした。
血の様に真っ赤に染まる夕日。その赤い光が、彼と少女を祝福するように屋敷の一室を紅蓮に染め上げる。

「ぷはぁッ! お、お前ッ、いきなり何を?!!」
「何って・・・眷属を得るための儀式をしただけだぞ?」
いきなりのキスに驚き動くことが出来ない智。たっぷり一分の時間を使って、ようやく彼は強引に少女を引き剥がす。
その顔は、まるで純情少年の様に真っ赤になっていた。
一方の少女は引き剥がされた事に文句一つ言わず、むしろそんな彼の様子を楽しそうな表情で彼を見つめている。

「眷属? 儀式? 何だよソレ・・・ッ!??」
そんな少女の態度に苛立った彼は、掴みかかろうと両手を伸ばそうとした瞬間。

――ドクンッ!

体の中心の奥深く、その更に奥底からマグマを思わす程の熱さが智の体を蝕み始めた。

「くぅぁ…!!」

躰中が焼けるように熱を持ち、一緒にして毛穴という毛穴から汗が吹き出した。
顔と言わず腕と言わず、全身の血管と脈動の筋がたちまちのうちに膨れ上がり、ドクッドクッと波打った。

「うあ゛ぁぁぁッ!!」
胸をかきむしりながら、汗で濡れた学ランを脱ぎ捨て、釦が飛ぶのも気にせず、シャツの合わせを開く。
もはや立っていることさえままならず、膝を折って少女の前に跪くかのごとく崩れた。

「辛いか?・・・暫しの辛抱だ…じきに落ち着く…」
少女は足元の智を見下げ、その髪を愛おしそうに撫でつける。

「お・・お前ッ、俺の躯に・・何を・・・・何をした?・・」
智の擦れた声が少女の耳を掠める。

「眷属になるためには、苦痛も伴う・・・仕方ないのだ。
私といえども何も出来ない・・せめて、その服を脱がす手助けをする者を呼ぼう・・」

――パチンッ!

少女が指鳴らしを一つ。その軽快な音が室内に響き渡る。

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