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バトル・ザ・ヴァンパイア
官能リレー小説 - その他

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バトル・ザ・ヴァンパイア 3

掌は自然と口を覆っていた。
見開く眼は、瞬きすら忘れていた。
身体が硬直していくのを感じながらも、智はただじっとその一点を見詰め、そこから目を離すことはできなかった。

カーテンを揺らす風が、智の頬を優しく撫で、それと共に濃厚になったあの香りが、鼻孔を刺激する・・
視覚と共に誘いくるその妖艶な感覚に、体内の血が騒ぎ出すのを感じずにはいられなかった。
ベットの上、心地良さそうに寝息を立ているのは絶世の美少女。
夕日の光でキラキラと光るピンク色の長髪は、見ただけでもサラサラとしていそうな感想を受ける。
顔も小顔で美しく、色白の肌を覆うワインレッドのネグリジェから覗く豊満な胸、細く綺麗な腕にはシミ一つ見当たらない。
横になって丸くなるように寝ているためか、ピンクのパンツが丸見えになり、其処から伸びる魅惑的な足が智の視線を否応にも引き付ける。

「はぁ・・・」
無意識に出るため息、ソレも程までに目の前で寝ている美少女は美しすぎるのだ。
美少女から放たれる人間では為し得ない人外の美貌。智はその美貌の虜となってしまった。

"ゴクッ・・"・・自然と喉が鳴った。
同時に腰に灼熱の感覚が走り…熱の線が背骨を駆け上がった。

17になったばかりの智にとっては、刺激的過ぎる光景であると言ったらそうだった。
身長こそは180と、大人顔負けの見て呉れを持ってはいるが、
その中身と言といえば、早熟な中学生の方が進んでるかもしれなかった。

高1からバスケット部のレギュラーを任され、学業の方も常に上位ランクに着けていた。
日本人離れした容姿から、街を歩けば10人中6人は振り返った。

そんな誰もが羨むような智ではあったが・・・奥手だった。
硬派気取りで、野郎とばかりつるんでいるため、周りに女の存在はゼロだった。

当然、こうした艶かしい女性の寝姿を見るのも、智にとっては初めての体験だった。

そのことが、日没前の少女にとっては救われたと言ってもよかった。
ここに迷い込んで来たのが、女に長けた男であったとしたならば、
この少女の世を絶する美しさに、違和感を覚えたかもしれなかった。
そうでなかったとしても、こんなに無防備な美少女の存在を前に、10人中9人までの男が何らかの行動を起こすと考えてよかった。
しかしながら、智はその貴重な1人だった。

少女自身が香りで誘ったとは故、それが中武智という女に免疫のない清い少年で、少女は救われたのだ。

「すぅ・・・すぅ・・・」
「・・・」
未だ心地良さそうに眠っている少女を目の前に、ただ突っ立って居る事しか出来ない智。
夜へと近づいていく窓からの風景が、刻々と過ぎ行く時間を表している。
「・・・よし」
一体どれくらいの時間が経過したか分からない時、小さく何かを決心した智は恐る恐るといった足取りで少女に近づこうとした瞬間。
「何をしようとしている? 侵入者」
「ッ?!!」
凛とした高圧的な声が、部屋全体に響き渡る。
そのあまりの事に、彼は体を大きくビクつかせ近くにあった丸テーブルの足に自分の足を思い切りぶつけてしまった。
「あぁッ!!?」
「一体何処の誰だ? 私の眠りを邪魔していた者は・・・」

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