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原始人
官能リレー小説 - その他

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原始人 6

 アルとマアが元の場所に戻ってきたころには、長老とティティの間の話は結構進んでいた。
「ねえ、アル、その石槍、作れる?」
「え、ああ、材料があれば」

 彼は石槍の先端付近に手を触れた。

「それ、交易で結構人気でそうだって」
「コウエキ?」
「海…この大きな川みたいなもの…の向こうとは、いろいろ品物を交換しているんだって」
「なに!?じゃあこのデカい水溜まりの向こうにも人の住む土地があるのか?」
驚くアルに長老が言った。
「うむ…島がいくつかある」
「シマとは何だ?」
「この大地ほど広くはないが、人が住める陸地じゃ」
「じゃあその更に向こうはどうなっているんだ?」
「海が続き、また所々に島がある…ずっとそんな感じじゃ」
「ずっとそんな風に続いている訳ないだろう。どこかに終わりがあるはずだ」
「終わりか…そこまで遠くへは行った事が無いので解らんのう」
「そうかぁ…」
アルは海の向こうを眺めた。
その表情は何やら考えているようだった…。

それから数日、アルは村に滞在して村人達に石槍の作り方を教えた。
代わりに村人達から釣竿と釣針の作り方、魚の穫り方、それに舟の操り方を学んだ。

たまに暇な時、アルはボンヤリと海を眺めていた。
ある時、長老が言った。
「まだ気になっておるのかね?海の果てに何があるのか…」
「長老…」
「ワシらにとって海は生まれた時から側にあって、当たり前のように存在しておる物じゃ…それに対して疑問を持つ者などおらん。じゃが内陸から来たお主は別じゃ」
「ああ、海に魅入られたのかな…」
「そうかも知れんな…。もうすぐ島から交易の一団を乗せた船が来る。それにお主らを乗せてもらえるよう頼んでやろう」
「良いのか!?」
「うむ、石槍の作り方を教えてくれた礼じゃ」
「マアも連れて行って良いか?」
「マアは村の娘じゃが今はお主の妻じゃ。止める権利は無い」

それから数日後、村の沖に交易船が現れた。
「何だアレは!?」
「家が水に浮いてる!?」
アルもティティも大型の船を見たのは初めてだった。
大型と言ってもこの時代の物だから、それほど大きくはないのだが、二人にとってはまさに驚異的だった。
「あの柱と垂れ下がった布は何なの?」
ティティは帆柱を指差して尋ねる。
マアが説明してくれた。
「あれで風を受けて進むのよ。あれくらい大きな船になると風の力を借りて動かすの」
一方、長老は三人を乗せてくれるよう船側と交渉してくれた。
「乗せてくれるそうじゃ」
「本当か!?ありがとう長老!恩に着るよ!」
「お安いご用じゃ…そうそう、石槍の作り方じゃがな、島の連中には教えんでくれよ。この村の特産品にしたいからのう」
「お安いご用だ…じゃあな!世話になったよ」
「そして、ティティ、これをつけていくといい。あの、風を受けるものと同じように作られた布じゃ。今着ているものより、暑くないじゃろ」
 長老は、石槍何本かと引き換えに、交易団の一人から、受け取った布をティティに渡した。
「いいんですか?」
「そなたらのおかげで、この村もより豊かになるじゃろう。これも、その礼の一つじゃよ」

 ティティは、海岸の岩の陰に行って毛皮を脱ぎ、その布をまとった。
 交易団も、船に乗っているのは男ばかりだが、上半身裸である。ティティの身なりは、この周辺では一番、先端的と言えるものとなった。
 マアは変わらず「なんでそんな面倒なものを身に着けるのか?」というようなことを言った。

「おおぉ…白い」「美しい」「胸デカイ」
 ティティを見て、交易団の男たちが口々にそう言った。

「そして、アル、ちょっと」
 長老が呼び止め、アルに耳打ちした。
 アルは、村の男と同じ腰みのをつけるようになっていた。

「そなたらの話から考えると、そなたらが来た方は寒くなって、こちらに、どんどん人が来るかもしれない。我々も、ともに村を発展させられるなら、彼らを受け入れたい。しかし、彼らがそうではなかったとき、その時は、そなたが教えてくれた、石槍が、我々を守るものとなるだろう。改めて、ありがとう」

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