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原始人
官能リレー小説 - その他

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原始人 44

二人は全身から湯気を放ち、荒い息を吐いていた。その姿はさながら戦いを終えた戦士のようだ。
アルは手に青に透き通った剣を持ち、ギャバーは同じく透けた槍を持っていた。
「アル…?」
ティティはアルに声をかけた。だがアルは何も答えず、ふらつく足取りで歩き出した。それにギャバーも続いた。
二人の様子は明らかにおかしかった。目は虚ろで焦点が合っていないように見える。
「アル、どうしたの!?」
ティティが再度呼びかけるが、やはりアルは答えなかった。
ティティは二人を止めるのを諦めた。何かあった事は間違いないが、自分に出来る事はないと判断したのだ。
(アル達は私の手の届かない領域へと進んでしまったんだわ…もう、私は必要ないわね)
彼女は悲しげな表情を浮かべた。そして静かに呟く。
「今までありがとう…」
彼女は二人に背を向けると、ゆっくりとその場から離れていった。
アルとギャバーは無言で歩いていた。
その目的地は決まっている。海の向こうにあると言われる美しい石で出来た建物が並ぶ世界だ。
海を渡るには船に乗る必要がある。アルとギャバーは迷いなく大船に戻っていく。そして甲板に出た所で二人は歩みを止めた。そこにはジョオとギャバーの手下達が待ち構えていた。
ジョオは手に青に透き通った棍棒を手にしており、手下達は今でいう古代ギリシャ風のデザインの兜を装備していた。
鍛え上げられた肉体と青に透き通る武具が太陽の光を浴びて輝いている。
それはまさに勇壮な光景だった。
アルとギャバーとジョオが船首楼の先端に立つと、それを見計らったように帆柱の先に取り付けられた大きな鐘が鳴り響き、船はゆっくりと波の上を進みだした。

(とうとう行ってしまったわね)
ティティは遠ざかっていく船を見ながら思う。彼女にとっては長い一日だった。

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