原始人 37
「このまま離れたくはないんだ」
アルは言う。
「今まで色々とありすぎたのよ…もうついていける自信がない」
アルの頭の中に素っ裸の船員や村の男達が襲いかかってくる光景が浮かんだ、下手したら彼女も危なかったのだ。しかもその船員達をこの船に全員連れ込んでいる。
「もし、離れたくないなら、私と一緒に、戻って」
アルはしばらくの間、ティティを抱きしめていた。
「それは、できない」
「じゃあ、決めた通り、次に太陽が出たら、私は、戻る、あなたは、行く」
「…わかったよ、この、夜だけ、一緒にいても、いいか」
「それは、いいよ」
二人が語り合っている時、ジョオはというと新たな動きを見せていた。
彼に酷いことをした四人の眠る箱をある個室に移動させる。そこは浴場のような場所だった。
この時代には風呂の概念はあまりない。石鹸になるものは出来つつあったが、湯を沸かす事が難しいのだ。
それなのにこの船には浴場という部屋が既にある。明らかにおかしいのだが、ジョオは知識がないので湯を使うことはなかった。
液状になった石鹸を手にして体を洗い始める。
“おおぉ、これ、いい。持って帰りてえ”
ジョオは液状になった石鹸のようなものを初めて経験していた。ジョオは、故郷で海岸でこれを使って海で洗い流すようなイメージを思い浮かべていた。
一方、アルは、もうティティの服を取り去っていた。ティティは抵抗することはなく、アルに身をゆだねている。
服と言っても単なる粗末な布切れだ。アルもその布切れを外していく。
やはり以前のアルとは違い、原始的な粗暴さは消えていた。もしかしたら船員達の性欲に溺れた姿を見てコントロールが出来るようになったのかもしれない。