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原始人
官能リレー小説 - その他

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原始人 35

人間を軽々と持ち運べる箱もだが、それを満たす青い塊も謎が多い。美しく透き通っている泥か粘土のような物体は今まで見たことがなかった。
「船を降りる時に少し分けてもらおう。なにかに使えるかも知れない」
アルが言う。


 その頃、マアとティティが星を見ながら話していた。
 「私が、前住んでいたところは、あの星、もっと高かったよ」
 「キタの星だ。そんな遠くにいたんだね…」
 二人は、しばらくそのままキタの空を眺めた。
 「ねえ、ティティ、やっぱり、帰りたい?」
 「どこへ?」
 「その、キタの星が高いところ」
 ティティはしばらく黙った。

 「食べ物なかったんだよ」 
食べ物がなければ生きていけない、当然故郷を捨てるしか無くなる。それはマアにも理解できた。
ティティは早く故郷に帰りたいのだろう、マアはそう感じた。
胡散臭い船に乗り込んだせいで船員が襲いかかる現場に居合わせたり、素っ裸の村人から放たれる卑猥な植物に追いかけ回されたりと災難続きであればそんな気分にもなるだろう。
その故郷も隣村に壊滅させられて今はもう無い。しかし、こんな歪んだ卑猥な旅を続けているより村の跡地に戻った方が精神が安定するのかもしれない。
「色々あったもんね…」
ティティはアルに襲われた時の事を思い出していた。

 それでも、それはアルに助けてもらった後だった。アルに会わなかったら、殺されていたかもしれなかったのだ。
 ティティは黙ってキタの星を見つめ続けた。
 「ねえ、アルって、何か新しいところに行きたいような感じしない?」
 「え、うーん、ええ、そうだね」
 二人で歩き始めたとき、ティティが食べ物が多そうなこの方向に導いたのだった、とティティは昨日のように思い出していた。でも、マアと会った海の前のムラに着いてからは、アルはそういう考えでは動いていなかった。マアの言うように、新しいところを求めて、海の向こうに何があるのか、と考えて、海に乗り出したのだった。

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