原始人 29
船員四人もそれに続く。
「やっぱりこいつらも変なもん出したじゃねえか。あの時やっちまえばよかったんだよ」
船員が少年達を捕まえて卑猥に責めたてだしたのをアルは止めた。それがこんなことになるとは。
船員四人はそれぞれが少年を背後から羽交い締めにする。
「ギャバー、逃げろ」
アルは部屋の出口を指し、自らも出た。
しかし、外は夜。月明かりもなく、微かな星あかりのみ。どっちに道があるのかすら、分からなかった。
アルはこのような状況だと外も十分危険だと経験的に知っているので、出たことろで一度立ち止まった。
ギャバーはいきなり立ち止まるアルに困惑した。
「どうした、早くここから離れないとやられるぞ」
「外は逆に危険だ、あまり村から離れたら別のものに襲われる」
ギャバーは少し迷っていたが、猛獣等に遭遇して命を失うよりかはマシだと説明すると納得してくれた。
そしてアルは直ちに寝ているマアを起こした。
「マア、起きろ!大変なんだ!」
「え、何?」
その声に、隣に寝ていた、ここまで案内した村の少女も起きだした。
アルは急ぎ状況を説明して、マアに、何か策はあるかこの子に聞くように頼んだ。
策は無いようだった。あの蔓が出終わるまで待つしかないらしい。
しかし一旦全てを少年達から解放してしまえば、後は安全という事ではある。
「船員はどうなったんだろうか、ジョオなら大丈夫だろうけどあいつらは余計なことをしそうだな」