原始人 17
ジョオが左右の二人の肉の柱を自ら握った。
痛みによる反射的なものだろうが、それの行動によりアルに張り付いているのは背後の一人だけになった。ジャネイという名の若者だ。
ジャネイは筋肉質ではあるが戦い慣れしていない感じがする。アルは扉めがけて走り出していた。
扉には鍵が閉まっているのでそれを開けようとする。そこにジャネイが迫ってきたので、一旦扉から離れた。
そんなとき、ジョオを貫いていた男が悲鳴をあげ始めた。
「なんだ?コイツの具合、良すぎる…!締まる!」
男は反射的にジョオを引き剥がそうとする。明らかに様子がおかしかった。
その男は、気味の悪い笑みを浮かべながら、まるで女と後ろから交わるかのように前後に動き始めた。
そして、これは自らの意志なのか分からないが、両手で掴んだ二本の肉棒を上下にこすり始めていた。その二人の男もみるみるだらしない表情になっていった。
「つかまえたぞ」
しまった…アルはあっけにとられているうちにジャネイに後ろから両腕で羽交い締めにされた。
アルは足だけを動かして鍵をずらしてドアを開けた。この時代の鍵は構造が単純なので内側からであれば足で払ったくらいで簡単に開いてしまう。
そのままジャネイを振り払い駆け出していく。
バランスを崩したジャネイが後ろに飛んだ。彼は起き上がろうとしたが、なぜかジョオの方に吸い寄せられていく。
なんだかよくわからないがアルは助かったと思った。
アルは部屋から外に出た。太陽の光が斜めに差し込んでいる。そして、嵐の前には見えなかった。木が生い茂る陸地が光に照らされてあることに気づいた。
アルはティティとマアがいると思う方に向かった。
ティティとマアは、互いに抱きしめ合ってふるえていた。
男たちは、少し離れたところで互いに絡み合っている。
「アル!怖かった!」
ティティはマアから手を離して、アルの手を取った。
その温もりを感じて、アルは決心した。もう、この船にいるべきではない。
「ティティ、泳げるか?」
「およぐ?」
「ええと、水の中を、行くこと」
「それは、川でやってたよ」