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ミコ・カノ!!
官能リレー小説 - その他

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ミコ・カノ!! 32

「主様。そんな、呼び捨てなどと仰られましても・・・・」
「だから、主様は駄目だって。」
「しかし、その、主従のけじめがつきません。」
「そんな事どうでもいいじゃないか。主様より、もっと親しみを込めて『耕也』って呼んでよ。」
「ですが、それでは・・・・」
「『主様』って、他人行儀じゃない。なんか寂しいよ。それに外で、というか人前で『主様』って呼ばれるとその、色々とさ。」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「ならば、『耕也様』では、いかがでしょうか?」
「『様』付けっていうのがどうも。僕は一般庶民だから、しっくりこないんだよね。なんとかならない?」
「仰る事は理解できますし、呼び捨てあう関係というものに憧れを持たない訳ではありませんが・・・・。」
顔を赤くしてオロオロしだす沙耶、そんな彼女の純粋さを目の当たりにしてついつい顔がほころんでしまう。
「あっ、今笑いましたね! 酷いですっ!」
ムッとした表情で抗議してきたが、その様子はまるで子供のようで怖さよりも可愛さが際立ってしまう。
「ふふふ。 ごめんごめん」
「ぜんぜん反省感がありません! 賠償を要求します!」
笑って謝る僕と顔を赤くして涙目で睨んでくる沙耶。寝室にはほのぼのとした空気が僕たちを包み込んでいた。

「む〜・・・主様のバカ」
「ゴメンって。 沙耶が可愛くてついつい・・・本っ当にゴメンっ!」
あれから十数分、ムッとした表情のまま拗ねてしまった沙耶。枕を抱きしめながら背を向けてしまった。
さすがにやり過ぎた、と後悔したが後の祭り。何度謝っても、我がお姫様は一向に機嫌を直してはくれない。
「私だって、本当は・・・・」
「・・・・え?」
急にポツリと呟きだした彼女。だが、その声はとても小さく聞き取ることが出来ない。
「私だって・・・その・・・・呼び捨てで呼びたいですよ。 でも・・・」
「でも?」
聞き取れた単語をオウム返しで聞き返す僕。
「・・・・その・・・恥ずかしいじゃないですか・・・」
「〜〜〜〜っっっっ!!!」
背中をモジモジとさせて、恥ずかしげに呟いた沙耶。そんな彼女の様子に僕は声にならない声を上げる。
「沙耶っっっ!!!」
「きゃっ! あ、主様いったい何「気にしないでっ!」・・・え?」
たまらず彼女に抱きつく僕。いきなりの事に驚く彼女を無視して、僕は大声で言った。
「別に恥ずかしがらなくてもいいよ・・・と言うか、呼んでっ!!」
「へ?」
顔は見えないが、ポカンとした顔になっているであろう彼女に僕はもう一度言う。
「だぁ〜から。 僕の名前、呼んでっ!」
「で、ですが・・・・私は・・・その、ゲームのキャラなんですよ? 色々な淫獣に犯され、穢されてきた存在なのですよ? 仮初の存在なのですよ? こ、この家にだって・・・ひっく、うぅ・・・居候しているんですよ?」
段々と涙声になる彼女の声、それと同時に体もプルプルと震えだす。
「ぁあ・・・っく、そ、そんな私が・・・・ぁ、う、うぅ・・・いいんですか? 本当に・・・・」
抱きしめている僕の手に添えられる彼女の手。声も途切れ途切れで、最後は絞り出すようなかすれた声だ。
そんな彼女を僕はしっかりと力強く抱きしめる。

「良いんだよ。 僕は神代沙耶を心から愛してる。――だから・・・」

――僕の名前を呼んで・・・。

彼女の耳元で優しく、そして同時に僕は今まで心の内に溜め込んでいた気持ちも吐き出していく。

「・・・・・ッ!!!」
腕の中に納まっていた沙耶の体がビクリと震える。
ビクビク震え続ける彼女は、僕により一層体を密着させてきた。
「・・・・ぁあ・・・う、あぁ・・・う゛ぅ・・・」
時折、僕の耳を打つ彼女の泣き声。
凛とした雰囲気を持つ沙耶が今、ただ一人の普通の女の子として涙を流していた。

沙耶が僕の腕の中で泣き止んで、一体どれくらいの時間が経過したかは定かではない。
二人きりの寝室、そこで僕たちは一言も喋る事無く抱き合っていた。
「・・・・ゃ」
「ん?」
物言わぬ静寂な空間に突如一つのか細い声が僕の腕の中から聞こえてきた。
「・・・・こう・・・や・・」
再び腕の中から聞こえてきた声は間近に居た僕がようやく聞き取れるほどの大きさ、それを聞いた瞬間僕の体に電流が走った。
「・・・・・沙耶」
思わず抱きしめていた腕の力が強くなってしまう。それでも、今の僕の心の中には歓喜という一言が何度も何度も花火の如く打ちあがっていく。

「んきゅ・・・苦しい・・・力を緩めて・・・耕哉」

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