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“リア充”始めました
官能リレー小説 - その他

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“リア充”始めました 87

体が異常なまでに熱い。まるで熱湯を浴びているようだ。
「話にならない? 使えない? あぁ、あぁ、そうだろうさ。 俺は根っからの一般庶民・・・あんたみたいな人間からすれば、俺はそこらへんにある小石と同じさ」
口は、俺の意思を無視して勝手に動いている。実際、自分も何を言っているのかすら分からない。
「でもな・・・それでも、譲れないものがあるんだよ。 傷つけられたくないものがあるんだよ!」
しだいに口調が荒く声も大きくなっていく。
「あの雌犬共だと? ふざけるな! 何を根拠に彼女たちを・・・俺の女たちを馬鹿にしてやがる!」
「・・・」
俺の熱弁に祖父はただ黙って、無表情で聞き入っている。親父もまた同様だ。
「確かに・・・」
「!」
突然、祖父がゆっくりと口を開いた。
「確かにワシにはア奴らを・・・お前の女たちを馬鹿にする権利はない」
腕を組み、仁王立ちで俺を見据える。
「じゃが、それはあくまで彼女たちの話じゃ・・・お前がワシの跡を継ぐ理由にはならんし・・・何も、ワシは彼女たちと別れろとは言っておらん。 結婚は認めよう・・・それで良いではないか」
「ダメなんだよ。 それじゃあ・・・」
「何故じゃ? 何故、お前は良しとせん。 お前は、普通の生活に憧れておった。 ワシのような金持ちの世界は嫌だったはずじゃ・・・それが何故、良しとしない?」
疑問と威厳が交じり合った声で俺に問いかける祖父。顔も無表情から真剣な「男の顔」に変わっている。

「それじゃあ・・・彼女たちに胸を張れないからだよ・・・爺ちゃん」
「ふむ・・・」
「勢いとは言え、俺は五人全員に手を出して関係を持った。 初めは後悔したよ。 何て馬鹿な事をしてしまったのか・・・ってね。 でも、これで良かったって日を追うごとに思い始めたんだ」
真っ直ぐに祖父の視線を受け止めていた目が、自然と上に上がっていく。
「彼女たちが笑うたびに、喜ぶたびに、怒るたびに・・・そして泣くたびに、俺は彼女たちが好きになった。 愛するようになった。 だから・・・」
俺は再び視線を祖父と合わせる。刃物の様な鋭い視線が俺を貫くが、今度は怯える事は無い。
心の中で、再び決意が固まっていく。
「ワシの跡を継ぐ・・・か?」
「あぁ。 俺は、彼女たちに胸を張れる男になりたい。 彼女たちを守ってやれる存在になりたいんだ」
「それは・・・辛いぞ?」
念を押すように言う祖父に俺は真っ向から言い返す。
「関係ない。 辛かろうと苦しかろうと、これは俺自身が決めた事だ。 二言はない」
「・・・そうか」
ため息のように吐き出された言葉を最後に、祖父は顔を伏せてしまった。
そして、体をプルプルと震わせ始める。

「よく言ったーーーーーーーーー!!!」
「うわぁ?!!」
突如、いきなり抱きつきキスの雨を降らす祖父に俺は戦慄を覚える。
「ちょ、止め、離れろーーーー!!!!」
「プッ、ククッ・・・青春って良いよね・・・プフッ!」
「おい、ちょっと待て其処のクソ親父。 テメェ、何笑い堪えてんだ!!」
少し離れたところで此方を見ながらニヤニヤとし、必死に笑いを堪えている親父に俺は食いつく。

(こっちだって、正直スゲー後悔してんだぞ!!? 何この公開処刑!?)

「プッフフッ・・・。 まぁ、笑うのはコレくらいにして・・・信哉? あぁ言った以上、コレからの事は考えてあるんだろう?」
一通り笑ってスッキリしたらしい親父は、急に真面目な顔で俺に聞いてきた。
「クソ・・・後で覚えてろ。 まぁ・・・一応は」
「へぇ・・・聞いても?」
「俺・・・進学するよ。 行く大学も決めてある」
「何処に行くんだい?」
興味本位全開な親父の質問に、俺はただ普通に答えてやった。
「帝京大学」
「んなぁッ?!」
「ほほぉ」
とある大学名を出した途端、親父からは素っ頓狂な声が飛び出し、そして祖父からは確信めいた笑みを浮かばせる。

私立帝京大学(ていきょうだいがく)。
京大、東大と並ぶ日本三大難関大学として知られる一校だ。
主に政治に力を入れた大学で、政治家を目指す。 あるいは大企業の後を継ぐために、全国各地からの受験者数は年間一位を記録している。
そのため倍率も尋常ではなく、年平均倍率は最低でも三桁を下回る事はない。

「政治家の登竜門」として、その知名度は群を抜いている。

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