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“リア充”始めました
官能リレー小説 - その他

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“リア充”始めました 88

そして、何故そこを指名したのも意味があった。
「まさか、ワシが経営している大学に志望するとは・・・」
そう、今いった大学は目の前の人物―祖父個人が経営している大学であるからだ。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず・・・か?」
「あぁ」
挑発じみた声で不敵な笑みを浮かべる祖父に俺も不敵な笑みを浮かべて肯定する。
「よかろう・・・お前にワシの跡を継いでもらう。 それと、彼女たちとの婚約も認める。 じゃから信哉・・・」
「はい」
真剣な表情で俺を見つめる祖父。その声にはグループの長として、また一人の男としての威厳が垣間見れた。
「お前に試練を与える――絶対に大学に入り・・・主席で卒業しろ」
「分かりました」
即答し、部屋から出ようとする。もう此処に居る意味はない、言う事も言ったしやる事も決まった。
「信哉・・・頑張れよ」
部屋から出る瞬間、背後から祖父のエールが送られる。振り返ろうかと思ったが、俺は黙って廊下へと出て行く。



「あ、遅いじゃない! もう、龍重様と何を喋ってたのよ!」
「ゴメン、ゴメン・・・ちょっと、ね?」
一階はリビング。其処では今だパーティーが続行されており、見れば使用人さんたちが忙しなく動いている。
姿を現した俺にいち早く気づいたのは、やはりアスカだ。
彼女は俺を見つけた途端、誰よりも早く近づき質問攻め。しかもその表情は「嘘は言うなよ?」、と強く出ており言い訳が出来ない。
「ちょっと? 何よちょっと「俺、爺ちゃんの跡を継ぐ事にした」・・・・って、え?」
途端に静かになるリビング、誰も動く事が出来ず皆が俺一点を凝視する。
「・・・信ちゃん、本当?」
静けさを最初に破ったのは母さんだった。その表情には困惑の色が濃く、まるで余命宣告を言わねばならない医者のようだ。

胸の奥が痛む―まるで、過去の俺の最後の抵抗だといわんばかりに。
ほんの少しだけ胸の押さえる。
「あぁ、本当さ。 母さん。 俺は、今日この日この時を持って祖父の跡を・・・そして、アスカ。キャロル。麗。深雪さん。恵理。 君達五人との結婚する事も此処に宣言する!」

そんな胸の痛みを瞬き一つで押さえ込み、リビング全体に聞こえる程の大きな声でそう宣言する。
『う、ぅう・・・ッ・・・うぅ・・・』
「皆・・・」
宣言し終えた瞬間、アスカたちはその目に涙を浮かべ泣きはじめた。俺は、そんな彼女たちのもとへゆっくりと近づいていく。
「ゴメン。 俺がもっと早く決心できたら良かったのに・・・」
五人の前まで来た俺は、その場で頭を下げた。彼女たちの泣き声が心を抉る。
「本当よ・・・馬鹿! 本当・・・・ッ、何時まで待たせるのよ!」
頭上から降ってくるアスカの泣き叫ぶ声。
「でもッ・・・それ以上にッ・・・・・嬉しいのよ・・・・馬鹿信哉」
「アスカ・・・」
搾り出す声でそう呟く彼女に、俺は目頭が熱くなるのを自覚した。だって、その呟きには溢れんばかりの嬉しさが詰まっていたから。
顔を上げ、皆を顔を見る。涙でグチャグチャの顔―けど、そこには笑顔が咲き誇っていた。

「皆・・・・俺のお嫁さんになってくれる?」

「「「「「はい! 喜んで!!!」」」」」

息の合った答えに、思わず涙が零れ出る。もう、何が何だか分からない。気づいたときには、皆が俺を抱きしめていた。

「ンフフ♪ それじゃ、6人の結婚を祝したパーティーを始めましょっか♪」
『はいッ!!!』
優しい微笑みを浮かべた母さんの案に、リビングに居た全員が賛同する。
満天の星空が輝く空の下、俺たちは大いに盛り上がった。




雲一つ無い良く蒼い空に晴れて夫婦となった俺達を祝福するかのような荘厳な鐘が鳴り響き、目の前には白いウェディングドレスを着た花嫁が、嬉しそうに俺を見詰めている。
「何だか改めて言うのは変な感じだけど・・・愛してるよ皆。一生大切にするから」
照れ臭くてツイツイぶっきら棒に言ってしまった俺の言葉に、五人の新婦はスッカリ大きくなったお腹を誇らしげに揺らしながら、幸せイッパイの笑顔で抱きついてきた。

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