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“リア充”始めました
官能リレー小説 - その他

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“リア充”始めました 79

「おー!信哉!一年と二日ブリじゃな!良く来てくれたのう!元気にしとったか?」
「わー!じ、爺ちゃん!いきなり抱きつかないでよ!皆が見てるじゃないか!!」
「何言うとるか!可愛い孫との久々の再会じゃぞ!抱き締めて何が悪い!ほれ!何なら次はキスしてやろう!チュ!チュ!チュ!チュ!チュ!」
「うわっ!じ、爺ちゃん!もう勘弁してくれ!!」
俺は無理やり抱き締めたままキスの雨を降らせる祖父の拘束から逃れようと必死に抗う。
「なんじゃい冷たいのお・・・昔はシンちゃんの方からキスしてくれてのに・・・」
「そりゃ俺が三歳の頃の話だろうが!!」
まだ物心つく前の俺にとって、父親や母親と違い、俺の我侭を叱りもせず魔法使いのように全ての望みを叶えてくれる祖父は一番大好きな存在だったのだ。
もっとも、母親はともかく父親の方は庶民育ちの常識的な人だったため、さすがに俺の教育上よろしくないと考えたのか、俺が物心つくようになった頃から祖父が俺を甘やかすのを止めさせた。(これが父と祖父との関係をより悪化させたのは言うまでもあるまい)
だが、その後も祖父の俺に対する溺愛と言ってよい感情は変わることは無く、祖父が俺の為を思い行った様々な行動が、結果的に数々の事件を引き起こしてくれたのだった。
(やれやれ、変わらないな爺ちゃんは・・・)
祖父の拘束からようやく逃れると、照りつける南国の日差しを肌で感じながら、今度はどんな厄介ごとが起きるのかと内心溜息を吐いた。


俺と婚約者たちは、祖父が所有する太平洋のとある島に来ていた。
前にも説明したと思うが、俺の祖父は日本有数の大財閥近衛グループの総帥近衛 龍重(このえ たつしげ)である。
実際に目の前にするとガン黒のちょっとヤンキーが入ってる陽気な爺さんにしか見えないが(着ている服がアロハシャツなのだからなお更である)彼は千年以上続く名家の当主であり、もしも戦後貴族院が廃止されていなければ、貴族院の議長に座っていてもおかしくないとまで言われる日本政財界の大物。日本のフェクサーとまで言われている人物なのだ。
(とてもそうは見えないが・・・)
「で?今回は何で俺達を呼んだの?」
サングラスをかけた怪しい黒服の男達に誘拐同然に連れてこられた身としては、それくらい聴く権利は有るだろう。
「おお!実はのう、愛子が乗ったクルーザーが今夜この島の近くを通る事になっとっての。せっかくじゃから、久々に家族みんなで食事を取ろうと思うて呼んだんじゃ」
因みに愛子というのは、俺の母親の名前である。
「呼んだんじゃって、呼ぶならこっちの予定くらい聴いてからにしてよ」
「すまんのう・・・でも随分長いことシンちゃんに会っておらんかったし・・・」
ジド目で見つめつつそう問い掛ける俺の言葉に、祖父はそう言い訳して叱られた子犬のように目を伏せる。
(そうか・・・彼女たちが来て以来目の回るような毎日だったから気にしてなかったけど、爺ちゃんと最後に会ってから随分経つな・・・)
豪華客船で世界一周旅行に出ている両親とも、最後に会ってからもう半年近くが経過していた。
(もっとも、あの二人はどうせ優雅な日々を送っているんだろうけど・・・)
「まあ良いよ。どうせ冬休みの予定は無かったし・・・一日二日南の島でバカンスって言うのも悪くないや」
俺は内心溜息を吐きながらも、今回は祖父の我侭を許す事にした。
「おお!そうじゃろ。そうじゃろ。この島のプライベートビーチは、ハワイのワイキキビーチに勝るとも劣らん!何より無粋な観光客なぞ一人もおらんしの!どうせ愛子がこの島に来るのは、夜に成ってからじゃ!娘さんたちと一緒に海で遊んでなさい!!」
「じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらうよ」
そう言うと俺は祖父の進め通り、婚約者たちと一緒に海へと繰り出すことにした。

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